受け継がれるフレーム 生まれ変わってまた次の旅へ~新庁舎リメイク家具ストーリー~
2024年11月に新しくなった海士町役場。その空間を彩っているのがユニークな家具たち。海士町新庁舎魅力化プロジェクトのリメイク家具チームによって生まれ変わったリメイク家具にまつわるエピソードをご紹介します。
海士町議会で使われ続けてきた椅子
「しゃばりば(新しい役場1階共創スペース)」に設置されている椅子は、長らく海士町議会で使われており、2024年9月まで現役で活躍していました。
実は元々海士町にあったものではなく、役場の職員が松江での出張の際にお世話になっている、ホテル「白鳥」さんの廃棄予定だった椅子をお譲りいただいたものになります。
フレームがスチール製で非常にしっかりしており、がっしりとした構えの椅子です。
捨てるにしてもスチール製のフレームは産業廃棄物となってしまい、島の中では処理が難しく、本土に持っていかなければ行かなかったり。非常に手間のかかるものになります。
そこで汚れている座面や背もたれの部分を張り替え、フレームの丈夫さをそのまま活かしたリメイクを施すことにしました。
生まれ変わった3つのカタチ
① 様々な木材を積み重ねて作った地層チェア
こちらの木の丸椅子は2024年7月のワークショップで住民の皆さんと一緒に作りました!
座面と背もたれの部分は、古い家の木材を使用。積み重ねて丸い形に加工しました。
重ねられた木材は、ジオパークをイメージした地層のようなデザインに。
少しポップな印象をもたらす丸い形は、次の世代にリメイクして受け継がれていく、「まわる」、「めぐる」をイメージしてデザインされました。
② ジーパンや布を座面にしたパッチワークチェア
こちらの椅子も、ワークショップで住民の皆さんと一緒に作成したものになります。
元々入っているウレタンのクッション素材はそのまま残し、まちの中で集めたジーンズや厚手の生地を集めて座面をリメイクしました。
背もたれの色は空間に溶け込む落ち着いた色合いに塗り直し、椅子によって模様が違う、個性あふれるチェアに仕上がりました。
③ 船にギュギュッと大集合!あま丸ホテルチェア
あま丸船(家具)に設置されているベンチは他の二つの椅子と違って、個々の椅子としてではなくベンチとしてリメイクしました。
木材は西区の村越さんの工場で長年眠っていたマツの木を使用しました。
あえてベンチにしたのは、隣の人ともっとギュッと近寄ってもらいたいから。同じ絵本を一緒に読んだり、おしゃべりしたりなど、様々な用途で利用者が密接に関わることができます。
子供たちが船の先頭で遊んでいる姿を思い描きながらデザインされました。
子供にも、大人にも使われ続ける椅子に。
家具職人さんの手も借りながら、子供も大人も混じって一緒に制作された椅子たち。本来捨てられてしまうものがこのように生まれ変わり、また新たな場所で活躍する。
次の世代へと受け継がれる思いを大切にしていきながら使用していただきたいと思います。