実は起業は難しく無い!?海士町×ボーダレスアカデミー「起業応援Day」が開催されました!
4/21(日)AMAホールディングスさんが主催し、ボーダレスアカデミーさんの協力のもと、「起業応援Day」が開催されました。
学生の部、社会人の部と2部構成で行われた本イベントの様子を振り返ります!!
起業応援day
未来共創基金の運営事務局であるAMAホールディングス株式会社は、未来の産業づくりを促進するにあたり、海士町内でより多くの人が学べる機会を提供したいと考え、さまざまなイベントを企画しています。
そのうちのひとつとして、ボーダレスアカデミーと協力し、少しとっつきにくく感じる「起業」を身近に感じてもらえる機会を設けました。
学生の部 「起業を選んだワケ」
「起業応援Day」は、学生の部からスタート!!
小学生から大人まで、20名近くのみなさんが集まりました!
まずはチェックインということで、グループトークからスタート!
自己紹介
イベント参加の理由
「起業」ってどんなイメージ?
この3つのテーマで話されました。
グループトークでは「起業って意識が高そうなイメージ」、「起業ってハードルが高そう」、「将来起業がしたくて!」といった話で盛り上がります。
今回は、実際にボーダレスアカデミーに入社し起業をした、米田耕太郎さん(株式会社Wildlife Ventures)と鈴木彩衣音さん(株式会社SISTERS)にご登壇いただきお話を伺います!
米田さんはなんと朝8時のケニアからオンラインで繋がってくださいました!!
米田さんは、大学の専攻でもあった、「生物」と旅の中で興味を持った「国際協力」に関心を持ち、2つの分野での活動を模索していく中で、動物と人間が共生する社会の実現に結びついたといいます。
現在はケニアに渡り、「ゾウと人間の軋轢を解消する養蜂事業」を展開しています。
住民が育てた農作物をゾウが食べてしまう、ゾウと人間が鉢合わせたときにお互いを傷つけてしまうといった問題をゾウが本能的にハチを怖がることに注目して解決しようと生まれた事業だそうです。
養蜂でとれるはちみつやローヤルゼリーを利益化し、社会課題解決と利益性の両立を目指して日々奮闘しています。
将来はケニアだけじゃなくて、アフリカやアジアでも展開していきたいという米田さん。
「ずっと自分がどうやって生きるかということを大切にしていました。まずは自分が好きなことに素直になって好きであり続ける。自分で『こういう人になりたいんです』と周りにいい続けることを意識していた」と話しました。
一方、鈴木さんは中学生の時に観た映画で、社会問題に直面し、「平和」について考えるようになったといいます。
社会のために動ける人間になることを決意し、学生団体や海外ボランティアにも参加。
様々な社会問題がある中で、国際協力などの他国の貧困、ジェンダーの問題に関心があったという鈴木さん。
同時に日本のジェンダーギャップの深刻さに気づいたと話します。
日本に置かれた女性の課題をビジネスで解決していこうと、株式会社SISTERSを立ち上げました。
現在は性暴力加害者支援に尽力し、今後はジェンダー・ギャップの是正に携わっていきたいと鈴木さん。
「なんとなくわくわくすることがきっかけとなって起業や就活に繋がるとうれしい」と話されました。
起業の経緯や事業内容をたっぷりお話いただいた後は、質疑応答の時間!
会場のみなさんからも、質問や感想がよせられました。
Q.事業を進める中での、失敗談を教えてください!
A.鈴木さん
実は今やっている事業は方向転換をしたものになります。
もともとは性被害に遭われた方のカウンセリングの事業や精神的ケアにつながるコミュニティー事業をしていたのですが、どんなに頑張っても全然人が来ない。
無料のイベントをひらくと人は来るんだけど、「これって事業として成り立たないよね」ということがありました。
事業としてできていないのか、自分の実力不足なのか、自分自身の事業でもあるので客観的にそこの判断がつかなくて、最終的には、ボーダレスの社長である田口さんに事業を見てもらい、一緒に「これは変えたほうがいいね」と判断してもらいました。
自分自身で決断することが出来なかったことが1番の失敗談で、難しいなと感じたところです。
A.米田さん
失敗は毎日のようにしているんですけど、事業を始めた初期に感じたことは、文化の違いであったり、コミュニケーションの取り方が難しかったです。
当時、海外の人にはストレートにものごとを伝えるものだと思っていました。
でも、ケニアの人たちにストレートに伝えると、すごく嫌な思いをされて、一緒にプロジェクトをやっていた仲間にも「もうあなたとは関わりたくない」と言われてしまったことがあったりして。あとは、契約を結んだのに破棄されてしまったりとか。
日々、失敗をしながら、学びながら活動しています。
Q.学生のみなさんにアドバイスをするとしたら何かありますか?
A.鈴木さん
私は、高校生の時に学生ボランティアに参加しました。
経験として1個、外の環境を取り込めたというのが良かったです。
また、いろんな学生と出会うことで、情報格差の違いというものも実感しました。
留学をしたり、ボランティアをしたり、やりたいことに近い人と出会ったり、自分の生活以外でも、知見とか刺激をもらうということはぜひ学生時代にやってみていただけたらなと思います。
A.米田さん
1つは、実際に海外に行くとか、ボランティア、バイト、インターンなどとにかくやってみたいと思うことは片っ端からやってみてほしいです。
2つ目は、いろんなエネルギーが自分から湧いてくると思うので、これはやりたい、やりたくないなど自分のエネルギーに従う。
本来で言えば、大学の授業を休まないのが一般論として正しいのかもしれませんが、自分の中で「これがやりたいです!」という意思をもってやりきるみたいなところが、学生時代にやっておいてよかったなと思うことです。
今回、学生の部に参加された高校生は、「起業という言葉自体、漠然としたイメージしかなかったですが、小さい頃の体験や考えたことからやりたいことを具体的にする。そういうやり方から形にできるということがすごく伝わりました。」
「起業は難しそうなイメージがありましたが、好きなことを突き詰めていくとその先が決まっていくんだなと。ハードルが下がったというか、面白そうだなと思いました。」といった声が。
実際にはたらく若手起業家さんとのお話を通じて、改めて将来を考える有意義な時間となりました。
社会人の部 「地方での起業とは」
学生の部のあとは、社会人の部。
島の観光現場ではたらくみなさんなどが集まり、こちらもグループトークからスタートです!
「海士町で起業することのメリット・デメリット」などについて話し合いました。
グループからは「人との繋がりを生かせる」、「オフラインで会うとなるとハードルが高い」、「ないものはないからこそ割り切ってないなりに考えられる」など海士町ならではの声が多く聞こえました。
社会人の部ではボーダレスジャパンの出資を受け起業した伊藤 綾さん(きら星株式会社)にオンラインでご登壇いただきました!
伊藤さんは商業ディベロッパーとして全国展開するショッピングモールのマネジメントや新店舗の企画などを担当しつつ、閉店業務リーダーとして実際に2店舗のショッピングモールの閉店業務に携わったという伊藤さん。
閉店の理由には地方の少子高齢化がありました。
新店舗を建設するのは地方が多く、ショッピングモールがオープンすることによってその地域の商業開発に火種をつけることが狙いだと言います。
しかし近年は少子高齢化の影響で20〜40代の働き世代が減少したことによって売り上げも落ち、閉店以外に打つ手がなくなってしまう。
そうなると必然的に地方にも勢いがなくなっていく。そこで思い立った伊藤さんは地方への移住促進をメインとした「きら星株式会社」を設立されました。
事業としては、移住先の事業の紹介や、ニーズに合わせて新規事業の立ち上げなどを行なっています。
また移住のハードルとなるのが契約関係だそう。
ひとくくりに契約するといっても窓口がたくさんあり、さらにはわからないことも多いと話します。
そこで「きら星」では自治体から委託を受けて役場や不動産などの窓口を一手に引き受け、移住された一組あたりに約20〜30時間と手厚いサポートもされているといいます。
ほかにも民間学童や、民泊事業などもおこなっており、小さな商いを組み合わせて様々な事業を展開。地方の人材需要を高めることによって移住の促進を行っています。
その後も伊藤さんから詳しい事業の内容をお話しいただき、質疑応答の時間です!
社会人の部でもたくさんの質問があがりました。
Q.民間学童で旅行客などの子供を受け入れるのは聞いたことがないですが、募集等はどのように行っていますか?
A.伊藤さん
本社を置く湯沢町では親子deワーケーションという制度を用いて湯沢に訪れる方が多いのでその際に利用していただくことが多いです。
また、都会の方で、単に子供を地方に連れて行きたいという理由で来られる方もいます。
湯沢町は東京から新幹線で70分で来られるので気軽に訪れることができるのも理由の一つになると思います。
最近ではSNSなどでの発信のみで20人近い方に来ていただくことができました。
Q.事業を始める時には事業の成功が見えていましたか?
A.伊藤さん
事業を始める前のヒアリングの時点で全国の自治体が困っているのはわかっていました。
また、予算はあっても成果が出ないのも目に見えていたので、事業として入る隙間があることには気づいていました。
ただ、本社を置く湯沢町からの業務委託を受けられるかは保証がない状態だったのでそこは不安でした。
そのなかで初年度は地元企業への地方移住のあっせんのみを行い、十数人程度の移住を成功させることができました。
この実績を持って湯沢町へ直接「私たちと手を組めば成果がだせます!」と売り込み、役場からの業務委託を受けることができました。
振り返ると、社会的なニーズがあったので事業全体としての勝ち筋のようなものは見えていましたが、それでも実績のない一年目は頑張って踏ん張っていたからそこが評価されたんだと思います。
Q.地方でどのように仲間づくりをしていましたか?
A.伊藤さん
今、きら星では「住みたい街を作る仲間を増やす」をビジョンに掲げ活動しています。
その中で、事業を立ち上げる際に仲間が加わる余白を残しています。
自分はあえて完成系にしないというのを意識していてそうすることによって「あなたが入ることでより事業が良いものになる」などと声をかけることもできるし、「この余白に飛び込んで何かやりたいことありませんか」とやる気のある仲間と手を組むこともできます。
そのほかにも、その余白を埋めるために自分自身が新たにチャレンジすることも出ます。
もちろん手を抜かないことも大事だけど、完璧すぎないものを作ることも重要だと思っています。
このほかにも様々な質問がありました!
最後に伊藤さんは起業をこのように語ります。
海士町は人口2,000人ほどの島で「ないものはない」というスローガンもあるかと思いますが、「ないもの」はマイナスに捉えるだけではなく、余白であるとも考えられます。
なので、その余白をどう上手く使っていくかが大事になると思います。
人口減少が進んでいる地域では、人が少ない分、余白がとても大きく新たな事業で入り込む隙間がたくさんあります。
また、都会のようにプレイヤーがたくさんいるわけではないから、「自分が入り込むしかない!」そんなところがあると思います。
起業には様々な種類があります。
しかし必ずしもその事業で生活しなければならないわけではありません。
実際にきら星で平日は社員として勤務し、週末は自身が立ち上げたコーヒーショップで働いている社員もいます。
起業は必ずしも大きなビジネスを始めなければいけないわけではないので、自分たちの暮らしを楽しんでいくために気軽にチャレンジしてみてほしいです。
学生の部、社会人の部を通して合計40名ほどの皆さんが参加されていました。今回の企画を通して、起業が少し身近に感じることができたのではないでしょうか?
海士町の未来に、さまざまな形で挑戦したいと思える人が増えることを願っています。
島内の起業を応援する「いぃだねっか倶楽部」
今回のイベントを通じて、海士町noteスタッフの私たちも気持ちの変化がありました。
参加する前は「起業をするからには、ほかの職を離れて起業に専念しないといけない」と思っていた部分もあり、「起業すること」に、少なからずハードルを感じていました。
今回の講演を受け、副業のような小さなビジネスでも起業であることに変わりないということに気づくことができました。
イベントを主催したAMAホールディングスさんは、島内でなにかやってみたいと思っている方が、つながり学べる機会をつくりたいと考え「いぃだねっか倶楽部」を立ち上げました。
今後も、「事業づくりの勉強会」や「起業に関する相談会」など、様々な企画を実施予定とのこと!
こちらの活動にも注目です。
(海士町note担当:布野・渋谷)