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山陰広告賞を4年連続受賞!海士町在住クリエイター対談【中村徹也さん×南貴博さん】

海士町在住の中村徹也さんと南貴博さんが4年連続で山陰広告賞を受賞されました。

山陰広告賞
山陰広告協会による、山陰地方でその年に制作・発表された数多くの広告の中から優れた作品が選ばれる作品展のこと。

🏆映像部門金賞

人口600人の島の挑戦
広告主=協同組合YADDO知夫里島
制作社(者)=中村組

🏆地方創生賞

AMAFES2023ポスター
広告主=アマフェス実行委員会
制作社=ミナミデザイン

中村さんと南さんは4年連続の受賞ということで今回は特別に受賞作品ができるまでの舞台裏をお聞きしました。


左:中村さん 右:南さん

4回目にワケがある、映像部門での受賞。


ーーこのたびは、山陰広告賞受賞おめでとうございます!4年連続ということですが率直な気持ちを教えてください。

中村さん:
これまで3回受賞しているから。今回は無理だと思ったんですよ。
K‐1(キックボクシングの大会)にアーネスト・ホーストっていうキックボクサーがいて、フォータイムチャンピオンといって4回優勝したんです。
そのボクサーも4回目ではじめて実力が認められたから、3回じゃダメ。
4回目の受賞ができてうれしかったです。

ーー今回は「映像」という部門での受賞です。昨年とは違った想いもありますか?

中村さん:
これまでは地域とか複合などの部門で受賞していたので、今回は映像部門でとれてよかったな。1番うれしかった。

中村さん:
後藤章治さんっていう人がいて、その人も後鳥羽院顕彰事業の映像を動画部門で山陰広告賞をとっていたから。
「あの賞撮りたいな〜」って思っていて。
もちろん差はあるんだけど、受賞できてよかったですね。

▼後藤章治さんの作品「800年後のあなたへ」

知夫里島の人材募集。キーワードは「レッドインパクト」


ーー受賞された動画は、知夫里島の人材募集のための動画でしたよね。南さんも作品に携わったとお聞きしました。

南さん:
僕は全体のプロデュースという立ち位置で。
でもほとんど徹さん(中村さん)が考えてくれました。
主に、プランとシナリオに携わりました。

ーー知夫里島の観光名所も動画内に出てきましたね。

南さん:
島外の方に知夫のことをわかってもらうために、まず「レッドインパクト」というキーワードでプレゼンさせてもらいました。

知夫って赤壁とか赤ハゲ山とかが観光としては有名で「赤」って言うのを全面的に覚えてもらいたいなと思って。
「赤」をみたらコカ・コーラが思い浮かぶように「赤」を見たら「知夫」という島を思い浮かべてもらえたら勝ち。

そういうことができたらいいなと思いながら「レッドインパクト」という言葉を頭の片隅に置きながらプロモーションしていきました。
でも、最初に徹さん(中村さん)が編集した映像には赤があんまりなかったのよ。

ーーそうなんですか!動画を拝見して、「赤の衝撃」というワードも印象的でしたが。

南さん:
そうそう。その言葉を後で練ってくっつけてね。
今回の大きなテーマが「レッドインパクト」で合意を得ているから、やっぱり映像も赤というのを印象づけるようにしないとテーマがずれてきちゃうから、「赤にもうちょっと寄ったらどうなりますかね?」と徹さん(中村さん)に伝えてつくりあげる。そんな感じで一緒に仕事をしていました。

映像制作は、楽しまなきゃ。

ーーなんと作品には知夫里島の平木伴佳村長も出演されていましたね。

中村さん:
ノリで出てくれた。
プレゼンもしてね、南さん。

南さん:
うんうん。

中村さん:
「何人募集したらいいんですか?」って平木村長に聞いたら実際に「3人くらいだな」っていうのが本当にあって。作品に採用しました。

中村さん:
でも本当によかったよ。

ーーどういうところがよかったんですか?

南さん:
楽しんでみんなでつくったというか。

中村さん:
そうそう、楽しまなきゃ無理。
楽しいって言うのはなんだろう。
げらげら笑うとかじゃなくて、制作に携わるみんなで「ああじゃない、こうじゃない」って言い合えたことが楽しくて。

あとは、一緒に制作に携わってくれた空(空本航一さん)とか、すごいセンスがある。
映画を観ている量が違うからいちばん伝わるし。
「こういうのやろうよ」っていったら、「あの映画のこんな感じですかね?」ってすぐ返してくれるからね。

中村さん:
アングルとかは陰ながらサポートしてくれる人がいて。
その人とも笑いながら、本当にみんなで楽しくつくりました。

ーー関わった人と一体になってつくられた作品であることがよく伝わりました。

中村さん:
知夫の作品で賞をとれたこともうれしかった。
次は西ノ島でもとりたいね。

ーー西ノ島での作品も楽しみです!

そばで見てきた、高校生の息吹をポスターに。


ーー続いて、南さんはAMAフェスのポスターで地方創生賞を受賞されました。作品にはどういったテーマが込められていますか?

南さん:
そうですね。
今回AMAフェスの発起人が島前高校生で、徹さん(中村さん)がそのサポートをしたり、アーティストを呼んだりしてあのフェスは開催されたんですけど、僕はPRや情報発信の部分で関わらせてもらいました。
もちろん、高校生のサポートを大人がしてあげることは大事だけど、高校生の自分たちがやりたいという想いはしっかり埋め込みたいなと思ったんですよね。

ーー「無理だ」と「無敵の理由だ」をかけていることに気づいたときは思わずやられた!!と思いました。

南さん:
ポスターの真ん中に書いてあるキャッチコピー、離島の高校生がフェスやりたいなんて「無理だ」と「無敵の理由だ」の2つを組み合わせて縦読みと横読みで。
これがひらめいたときに「うわ!きた!」って思いましたね。
ですけど、これだけでつくっちゃったら大人の仕事。
先ほどお伝えしたように、高校生の想いや血みたいなものを入れたいなと思ったんです。

南さん:
そこで、僕がポスターをつくる前に高校生が言っていた「ぶっ飛んだもん勝ち」というメッセージを自分の好きなサイズや太さで思い思いに書いてもらおうと思って。
真ん中のキャッチコピーの両脇に「ぶっ飛んだもん勝ち」と書く子もいれば、文字を分断するように横書きで書く子もいて、全部が正解。
そういうのをこのポスターに書いてもらって自分も主体として、参加しているんだって高校生たちもきっと思っただろうし、大人と高校生がちゃんと混ざって、地域全体でやっているフェスだということを感じてもらえたらいいなと思って、そういう仕掛けにしました。

中村さん:
あれはキャッチ(キャッチコピー)からできたの?

南さん:
いや、この写真を使いたいなというのがあって。
これ全然季節とか関係なくて、島前高校に向かう坂の近くを歩いていたときに大きな牡丹が咲いていたんですよ。
すごいきれいだなと思って上を見たら、島前高校がパッと入ってきてて。
その時ちょうど島前高校で自分がデザインの授業をしていたから、何かに使えるかなと思って撮っておいたんです。それがずっと頭の中にあって。

今回のフェスのポスターに使えたらいいかもなというので。
グラフィックも青一色、今回のAMAフェスは、ごとばんさん芸術文化祭という企画の1つで大トリだったから、ごとばんさん芸術文化祭のコンセプトカラーでもあったブルーと島っぽさが出るように制作しました。

中村さん:
でもあれだよね。南さんは、ずっと前からAMAフェスの準備とかを見てきたからだよね。
投稿されたポスターを見た瞬間はびっくりした。ぐうの音もでない。(笑)

ーーもともとAMAフェスに関わっているわけではなく、何かに投稿されたんですか?

南さん:
そうだね。AMAフェスの2週間前くらいかな。
みんなやることでいっぱいだし、タイムリミットも迫って焦りがある。
その時に「俺にできることって何かないかな?」ってポスターをつくって。実は、僕はAMAフェスの事務局に入っていなかったんですよ。
普通に楽しむ側でした(笑)

でも周りの動きをみていたりして、僕が応援できることってこういうポスターをつくることだから、情報発信にもなるし面白そうなフェスができるなって思ってもらえたら開催する人も鼓舞されるし、いいなと思って。
で、インスタかな?Facebookか何かで、勝手にAMAフェスポスターといって投稿したらいい反響がありまして。

ーーそんな経緯から地方創生賞の受賞に至ったのですね。
南さん:

自分で言うのもなんですけど、本当に地方創生の一環として、ポスターを使うっていう新しい形を提示できたかなと思っています。
プロのデザイナーがつくって印刷して、貼り出して終わりというのが普通のポスターの役割だと思うんですけど、そこに関係者や主催者が一筆入れて自分事にしていく。
そういう風に、クリエイティブに触れるということも高校生は楽しんでくれるだろうし、約2,300人の島だからこそできたことなのかもしれません。
島のいろんな方が関わってこういうポスターを作り、クリエイティブを仕掛けていくということが評価につながったのかなと思っています。

▼南さんのnote

いい違和感とセンスから。

ーーお二人で仕事される機会も多いと思いますが、中村さんは南さんのデザインをどのように見られていますか?

中村さん:
デザインってすごいんだよ。その、違和感を感じるプロ。
逆に違和感を生み出すプロでもあるし、違和感を察知するプロでもある。
そこがすごいなって思います。

ーー今回のポスターも拝見させていただいて、良い意味で違和感を感じました。

中村さん:
そうそう。
南さんはそれを無意識に操る。詐欺師みたいだね(笑)

南さん:
一回ね、きれいに作るんですよ。きれいに作ってから崩すんです。
言葉はこれに決めて、その後に細かい調整。
ポスターの左側に黒い ◥ があるじゃないですか、あれも「あったらどうかな?」「ないほうがいいかな?」って検証するし、色も「ブルーだけじゃなくて、ピンクや黄色にしたらどうかな?」とかどういう違和感が1番ベストなのかを考えて崩す。
違和感ってやっぱり嫌なんで、いい違和感を作らなきゃいけないというのはすごく苦労しますけど、それがないと心に残らないので。

ーー南さんは中村さんの作品をどのように感じていますか?

南さん:
徹さん(中村さん)はセンスがある。
今まで積み重ねてきた50年間があっての映像制作なんですよ。

南さん:
徹さんは料理も音楽もやってきたし、人とは違う視点を磨いてきたんでしょうね。そこで培ってきたセンスがあるから、すごい面白いものができ上がるんですよね。

▼中村さんがどんな方なのかはこちらのnoteでも!

つくりたいものと向き合うとき。

ーー近くで仕事をしているからこそ見えてくるものがあるように思います。最後に今後はどういうことをしていきたいですか?

中村さん:
自分のつくりたい動画を制作したい。
お仕事をいただけることはすごくうれしいですけど、自分のつくりたいものを作らないと何がしたいのかわからない。何を言ってんだろう。
でもちょっと旅館に集中したいですね。(笑)

南さん:
そうだな。本当にそう。
今まで、10年以上、20年くらいかなデザインの仕事をしてきて。
やっぱりクライアントのための仕事だから、自分なりに表現できる面白さはあるんだけど、これからは「ゼロから自分が何をつくりたいのか」みたいなことを考えたいですね。

中村さん:
まったく一緒じゃん(笑)

南さん:
ほんと一緒!(笑)
ここからどうしていこうかというね。他にあるのかな?表現って。
アーティストとか写真家とか画家とかいろんな素敵な作品をみて思うところはあるし、そこからインスピレーションがあって表現することもあるのですが、じゃあ自分になにかあるのかなって。
それをゼロからみつけないと次の周回にも入れない感じ。
お仕事をいただいていて生活できているので、とてもありがたいことなんですけど、別のこともしてみたいなと思いますね。

素敵なお話ありがとうございました!
中村さん、南さん、改めて山陰広告賞受賞おめでとうございました!

山陰広告賞受賞作品はこちらのリンクからも!


山陰広告賞2024
動画部門金賞:人口600人の島の挑戦
地方創生賞:AMAFES2023ポスター

山陰広告賞2023
地方創生賞:本気米/海士の本氣米生産組合
SP部門:リブと海

山陰広告賞2022
地方創生賞:フルスイング!大人の島留学イメージビデオ
ポスターアーバンアド:海士のごとばんさん 島民劇ポスター

山陰広告賞2021
地方創生賞:なかむらりょかんプロモーションビデオ
SPアーバンアド:後鳥羽院遷幸八百年ロゴマーク


(海士町note担当:渋谷)







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