食べれるしゃもじ、踊れるサブレーができるまで。
海士町を代表するものと聞いて、みなさんはなにを思い浮かべますか?
そのひとつに「キンニャモニャ」があります。
キンニャモニャは、海士町で古くから大切にされている隠岐民謡の一つです。毎年8月に開催される町一番のお祭りのキンニャモニャ祭りでは、両手にしゃもじを持ち、新しく移住してきた人も、ずっと海士町で暮らしている人も、みんなで一緒に踊ります。
そんな島のアイデンティティでもあるしゃもじをモチーフに、新しい海士町のお土産ができました。食べれるしゃもじ、踊れるサブレー「あましゃもじ」です。
「あましゃもじ」を手掛けたのは、海士町の東地区でベイクショップ アヅマ堂を営む大野さんです。商品が生まれたきっかけやこだわり、おすすめの食べ方などをお聞きしてきました。
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ついつい海士町のことを誰かに教えたくなるような、ユニークでくすっとしてしまうお土産を
海士町noteチーム 嘉根(以下、嘉根):
こんにちは。今日はよろしくお願いします。
アヅマ堂 大野さん:
よろしくお願いします。
嘉根:
早速ですが、「あましゃもじ」を作るきっかけを教えてください。
アヅマ堂 大野さん:
もともと誰かにお土産を選んであげたり、旅行先の珍しいものをあげるのが好きなんですけど、海士町にもおもしろいお土産があれば良いなと考えていて。
人にあげたくなるような、海士町の魅力が伝わるようなものって何だろうと考えたときに、キンニャモニャが思い浮かびました。
嘉根:
初めてキンニャモニャって聞いたとき、「…ん?」ってなりました。
アヅマ堂 大野さん:
そう!初めて「キンニャモニャ」って聞くと、「なにそれ!?」「何語?」ってなるじゃないですか(笑)
しかも、しゃもじを持って踊るって不思議じゃない?すごくキャッチーだし、おもしろいし。
嘉根:
民謡でしゃもじ使うよって聞いたときも、「しゃも…じ??」ってなりました。
アヅマ堂 大野さん:
そうすると、たぶん、しゃもじ型のお菓子をもらった人や、島に来たことない人は、「キンニャモニャ?なにそれ!?」って聞かざるをえないというか、つい聞きたくなっちゃうから、
そこから海士町をつい話したくなるし、「あましゃもじ」をきっかけに会話が発展していってほしいなという思いがあって作ってみました。
やっぱり初めてキンニャモニャを聞いたときの、わくわく感はずっと覚えておきたいです。
実際のしゃもじとほぼ同じサイズで、キンニャモニャを踊れます
嘉根:
「あましゃもじ」には、味にも海士町らしさがありますよね。
大野さん:
しゃもじ型のモチーフだけじゃなくて、味も海士町を意識したものを使いたいなと思ったときに、ぱっ!と、こじょうゆ味噌を思いつきました。お味噌を使ったサブレってありそうでないけど、きっとおいしいだろうなと思って。
嘉根:
私もお味噌を使ったサブレ―は聞いたことありませんでした。
アヅマ堂 大野さん:
「あましゃもじ」は甘すぎないサブレーなので、若い方も年配の方もきっと食べれるだろうし、お酒を飲みながら、おつまみにもなればいいかなと思っています。
嘉根:
オススメの食べ方はありますか?
アヅマ堂 大野さん:
お茶にもコーヒーにも合うと思うし、バニラアイスをのせても美味しいです。
実際のしゃもじと同じサイズで大きいから、味が濃すぎず甘すぎず、ほんのりこじょうゆ味噌が香って、余韻が残る味にしてます。
嘉根:
実際のキンニャモニャのしゃもじと同じ大きさなんですね!
アヅマ堂 大野さん:
そう!同じ大きさになってます。キンニャモニャを踊る時にも「あましゃもじ」を使って踊ってほしいくらい(笑)
パッケージに描いているしゃもじの絵も実際の大きさのものなんです。魚拓ならぬ、しゃも拓(しゃもじ拓)を作ってもらいました。
くすっと笑える要素もいれたい
嘉根:
パッケージもアイデアに溢れていて、可愛いすぎです。特に「あましゃもじ」の使い方一覧が好きなんですが、この絵は大野さんご本人ですか?
アヅマ堂 大野さん:
そうなんです。私と娘の絵ですが、わかる人にはわかるようにしました。隠岐や海士町を意識したラインナップになっていて、くすっと笑える要素を意識しています。
隠岐ユネスコ世界ジオパークの認定商品にもなっていて、箱の中には、キンニャモニャやこじょうゆ味噌の説明があるリーフレットも入れてます。
嘉根:
リーフレットで海士町のことをもっと知ってくれるきっかけになりそうですね。
アヅマ堂 大野さん:
実際、「海士町ってどんなところ?」ってよく聞かれますが、説明が難しくて困っちゃうことが多いです。「どう伝えたらいいのかな…」ってなっちゃう。
でもそんなときに、パッケージの絵を見て、アワビや牡蠣がとれて、こういう歴史があるよ~!って海士町のことを話しやすくなれば良いなと思っています。
嘉根:
「あましゃもじ」を作る上で、苦労したところはありますか?
アヅマ堂 大野さん:
しゃもじの形状って割れやすくて、梱包に苦労しました。発売する前に、実際と同じ方法で梱包して、海士町に送っていただいたとき、半分以上のしゃもじサブレ―がわれちゃってて。
箱の入れ方や、梱包方法を色々試行して、今のような方法に落ち着きました。
嘉根:
大きさや太さを変えたりはなかったですか?
アヅマ堂 大野さん:
やっぱり、同じ大きさっていうところに、おもしろみがあるし、海士町のお土産として特別なものになるかなって思ってます。
島暮らしにほんの少しのワクワクを
嘉根:
大野さんは、アヅマ堂というベイクショップや、amairoという水引アクセサリー、アマノーラなどを作られていますが、その全てに共通して大切にしていることはありますか?
アヅマ堂 大野さん:
一番大切にしていることは、「日々の暮らしを少し豊かにすること、島暮らしにほんの少しのワクワクを」です。
そして、私自身が楽しいって思いながら活動することも、大事にしています。私がすごく気に入っていて、好きだからこそお勧めしたい、食べてもらいたい。この流れを大切にしたいです。
嘉根:
そういう気持ちって人にまっすぐ伝わりますね。
アヅマ堂 大野さん:
そうそう。ベイクショップも、基本私が食べたいもの、美味しいものを作ってて、作りたい気分や冷蔵庫にあるものを見て、作る種類を決めてます。夜ご飯を決めるみたいな自然な気持ちで(笑)
嘉根:
amairoの水引アクセサリーも、好きを詰め込んで作られているんですか?
アヅマ堂 大野さん:
水引のアクセサリーは、私が海士町での暮らしで感じたことを色で表現しています。名前も、海士の色を表現しているから、amairoなんです。
アクセサリーと一緒に、なにをイメージしたのかを書いている紙も同封しています。例えばレインボービーチ(菱浦地区にあるビーチ)とか、秋の空とか、アヅマ堂がある東地区の田んぼとか。
春や秋では田んぼも見え方も違うから、できるだけ自分が感じた気持ちを大切にしてます。
自分が好きでお勧めしたいと思うものを
嘉根:
ベイクショップも、水引アクセサリーも、好きと暮らしと仕事がまざっているような気がしました。
アヅマ堂 大野さん:
そうなんです。仕事としてというよりは、生活の一部みたいな気持ちです。
売るものって、自分がいいって思わないと売れない。嘘ってわかっちゃうから。だから、嘘をつかないで、町の人に対してできるだけ誠実でありたいと思っています。
島に住んでる方を想像しながら、「あの人喜びそう!」と好きそうなものを想像して選んだりすることもあったりしますね。
嘉根:
島のみなさんと距離が近いお店ってめっちゃいいですね!
アヅマ堂 大野さん:
ベイクショップも、特別豪華なおかしではないし、作ろうと思えば家でも出来ちゃうし、素朴なものが多いんだけど、
来て買うひと手間をかけてくれているからこそ、私自身も誠実さを大切にして、そういう人間関係の上で、お店に来てくれる人がより気持ちよく買い物ができる環境がいいですよね。
これからも、日常をちょっとだけランクアップさせる。日常を少し彩るようなものでありたいです。
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大野さんありがとうございました。
海士町では、島じゃ常識商店(菱浦港内)、Entô、お土産と手仕事のお店 つなかけにて発売中。隠岐の島町でも、西郷港、あんき市場でも販売しているそうです。ぜひ、召し上がってみてください!
LINKS
こちらのnote記事にも大野さんのことが掲載されています!
[文:大人の島留学生 嘉根]