見出し画像

【ふるさと再発見ツアー】隠岐神社でホタルの観察会を行いました

行く螢 草の袂に包めども 猶隠れぬは 思ひなりけり

【出典:『隠岐五百首和歌注釈』】

ホタルは、草の中に下りると光が見えなくなるけれども、人が人を思う気持ちはいくら隠しても隠れない…。後鳥羽上皇は、海士町でホタルを見てそんな思いを抱いたようです。

こんにちは、海士町教育委員会でインターン中の大人の島体験生、名取彩雲(なとりあやも)です。

6月初旬、今年度1回目のふるさと再発見ツアーが行われ、隠岐神社でホタルの観察会が開催されました。

 

ふるさと再発見ツアー

海士町教育委員会では、平成23年からふるさと再発見ツアーを行っています。このツアーの目的は、町の方々が海士町の文化や自然を継承していくとともに、ふるさとを一層愛し、その未来を切り拓いていくきっかけを作ることです。


隠岐神社のホタル観察

海士町では、昔から6月になると様々な場所でホタルを見ることができます。海士町で「ごとばんさん」として親しまれる後鳥羽上皇を祀る隠岐神社やその周辺も、ホタルの生息地です。

今回のホタルの観察会は、その隠岐神社で、800年も昔にホタルを眺めていた後鳥羽上皇に思いを馳せながら、上皇の和歌について深め、ホタルの観察を通して豊かな生態系を残すために海士町の自然環境についても考えるツアーです。

▼ 隠岐神社や後鳥羽上皇についてはこちら


当日の様子

第1部では、隠岐神社参拝が行われました。夜の隠岐神社は雰囲気抜群。宮司の村尾さんから講話をいただいたあと、教育委員会のスタッフから、後鳥羽上皇に関する紙芝居の披露や、上皇のホタルにまつわる和歌の紹介がありました。

しんとして、昼にも増して厳かな雰囲気の夜の拝殿。
子どもも大人も宮司さんのお話に引き込まれます。


また、第1部では子ども向けの部屋も用意されました。

折り紙で作られたホタルに興味津々。
このあとスタッフに教わりながらみんなも(私も)頑張って作りました。


第2部では、はじめに、NPO法人隠岐しぜんむらの深谷理事長から海士町に生息するホタルについてお話がありました。その後、ホタルの観察が行われました。

海士町に生息するホタルは3種類。深谷さんから、それぞれのホタルの光り方の違いなどをレクチャーしていただきながらの観察会は、楽しみながらちょっと海士の自然に詳しくなれる素敵な時間でした。

真っ暗な道を歩いた観察会。
ひとりではなかなか怖くて歩けませんが、今回は50名近い方が参加され楽しい雰囲気でした。


最後に、隠岐神社で祀られている後鳥羽上皇が、和歌の才能に優れ隠岐の文化に大きな貢献をした「歌聖」と称えられていることにちなみ、参加者に俳句や短歌で感想を書いてもらいました。

皆さんが、色々なことを考えながらそれぞれの視点でホタルを見ていたのだとわかる
素敵な作品ばかりでした。


発信者から:あもメモ

ホタルの光り方は、同じ種類でも地域によって異なるそうです。つまり私が今回見たのは、海士だからこそ見られる光だったんですね。そう考えると、海士の自然を継承する大切さがより一層実感できます。

文献ではとっつきにくいホタルの生態や後鳥羽上皇をめぐる歴史のことも、今回の観察会をきっかけに、もっと知りたいと思えました。また、色々なことを教えてくださったのも海士町に住んでいる方。参加者の方々は、こんな知識を持っている方がいるんだ、と地域の人のことを知る機会にもなりました。

【ふるさと再発見ツアー】は、子どもから大人まで、海士町の方々がもっとこの地域の昔と今を知るきっかけを作れるのではないかな、と思っています。

 

おまけ:観察会のうらがわ

観察会の数日前、当日のスタッフを務める教育委員会職員で実施場所の下見に行きました。

光にとても敏感なホタルの観察会では、周囲を明るく照らすことができません。


安全安心なイベントにするため、昼間のチェックが必須です。
観察会当日は、明るい時間にスタッフが会場準備を行いました。

子どもや地域の方が作った灯籠に電気キャンドルをセットしているところです。
風で倒れないか心配していましたが、夕方から穏やかな天候に恵まれました。



島との距離は離れても、気持ちはいつも近くに