見出し画像

隠岐神社の「島一周神輿渡御」に向けたヒアリングを行いました

6月も半ば。2022年もあっという間に折り返しを迎えようとしています。こんにちは。大人の島体験生として教育委員会でインターン中の名取彩雲(なとりあやも)です。

9月に予定されている島一周神輿渡御開催に向け、5月中旬、町役場の後鳥羽院顕彰事業実行委員や教育委員会職員と、主催する隠岐神社の担当者で地区の皆様にヒアリングを行いました。

 

隠岐神社の「島一周神輿渡御」とは

隠岐神社のこと

隠岐神社は1221年に海士町に配流された後鳥羽上皇を祀るお社で、昭和14年に創建されました。後鳥羽上皇は、町内では「ごとばんさん」として親しまれており、隠岐神社も島の人々にとって非常に身近な存在です。

2022年3月6日には、島民劇「海士のごとばんさん~承久の海の彼方から~」が神社内特設ステージで上演されました。


島一周神輿渡御

2021年が、後鳥羽上皇が亡くなってから800年の節目であることを記念して、海士町では様々な「後鳥羽院遷幸八百年記念イベント」が企画されました。上で紹介した島民劇もその1つです。島一周神輿渡御もそのひとつでしたが、新型コロナウイルスの影響で今年に延期になりました。


島一周神輿渡御とは、隠岐神社のご神体(=後鳥羽上皇)を神輿(みこし)に乗せ、島を一周する神事で、2022年9月に開催が予定されています。これは、海士町史上初の神事で、島内各地区の文化を若手に継承する大きなチャンスともなります。


ヒアリングのようす

今回のヒアリングでは、各地区に神輿渡御へのご協力をお願いすると共に、島一周神輿渡御に対するお考えや、各地区の伝統継承に向けた課題などを伺いました。

各地区で共通していた最大の懸念点は、直会(なおらい)における新型コロナウイルス対策です。直会とは、いわゆる打ち上げのことを指す場合が多いですが、元々は、神祭の終了後、お祭りなどで神様に献上する食事や酒を参加者が分け合って飲食する行事を指します。

そのような、神様におもてなしをして、そのお下がりを参列した人たちでいただく行為「神人共食」は、日本の祭りの特徴であるとも言われ、大切な意味を持っています。

そのため、飲食の場面である直会を、感染対策のために簡単になくすことはできません。開催時や、練習時の感染症の状況が見通せないため、判断の難しい問題です。

どうしたら町内の地区の方々の思いを尊重し、更に負担の少ない島一周神輿渡御を実現できるのか、今後も話し合いが続きます。


今日のひとコマ

神輿渡御の話をきっかけにして、これからの各地区の未来を共に考える貴重な時間です。


発信者から:あもメモ

今回のヒアリングでは、島一周神輿渡御の話題を通し、各地区の課題を学ぶ機会となりました。例えば、各地区のお祭りでは、一度の開催で100万円ほどの予算が必要となると知り驚きました。

各地区で人口減少が進んでいることは、祭りの担い手が減るだけでなく、予算が用意できなくなることにも繋がっており、文化の継承が困難な状況は地区内だけでは解決できない課題だと感じます。

一方で、口伝されていた神楽を譜面におこす作業のため、近隣の地区同士で協力が行われていることも分かりました。また、今回の島一周神輿渡御は行政や地区、神社が互いの伝統継承のためのノウハウを伝え合ったり一緒に新たな方法を考えていくチャンスではないかとも考えています。



島との距離は離れても、気持ちはいつも近くに