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第1回ごとばんさん芸術文化祭レポート「ごとばんさん」×「私」たち×「アート」で起きたものがたり(後鳥羽院顕彰事業)

こんにちは。後鳥羽院顕彰事業実行委員会です。
さまざまな月日の移ろいを感じ、新たな変化のある「春」が現在そこに。そんな日々だからこそ、「文化」「アート」で心動かされる体験がありませんか?

後鳥羽院顕彰事業実行委員会では、後鳥羽院にまつわる文化歴史を「伝え、学ぶ」ことと、そこに現代に生きる私たち一人ひとりの暮らしと感性が加わることにより生まれるものを未来へつなぐために、今年度から「アート(これまで継承されてきた『伝統美』や私たちの『感性』)」を介した場づくりを始めました。

本記事では、昨秋開催より月日が経ってしまいましたが、「第1回 ごとばんさん芸術文化祭」(2023/10/21-11/14)振り返りダイジェスト記事をお送りします!

「ごとばんさん芸術文化祭」チラシ / 公式WEB
メインコピー「波を感じて 波を生む」



ごとばんさん芸術文化祭(10/21-11/4)

・開催日程:令和5年10月21日(土)~11月4日(土)
・会場:海士町一帯
・コンセプト:「波を感じて、波を生む」

800年前のごとばんさんの時代から受け継がれてきた隠岐・海士町の文化を、100年後、その先へもつなぎたい。時代時代で姿かたちに変化が現れたとしても、本質は大切に、新たな文化や表現も生まれる「場」「土壌」を育みたい。

そんな「文化・歴史の本質を伝えるためのしくみ」づくりを目指して、開催に至った「ごとばんさん芸術文化祭」。

海士町一帯の文化資源、自然、そして島内外の人の感性と技術が、存分なアレンジ、究極の表現で通った「舞台」でした。「アート(伝統美や感性)」を介した催しは、私たちにとっても初めての試み。ドキドキワクワク。
様々な彩りが生まれました。

あなたが、この島の100年後に伝えたいもの、のこしたいものはなんですか?


島の文化会議 隠岐と後鳥羽院から考えるシンポジウム(10/21)

現代「匠」の皆さん×島内の各企画の発起人×島前高校地域国際交流部、卒業生などに集まって頂いて開催したオープニングシンポジウムでは、「ごとばんさん芸術文化祭」を通じて描きたい未来について、「アート×地域」の可能性について語り合いました。
島外からの出演者として、刀剣研究家のポール・マーティン氏、金工作家の泉 公士郎氏、石州和紙継承者の川平勇雄氏、絵馬師の永崎ひまる氏、写真家のキッチンミノル氏、また芸術文化祭の各プログラムの島内の担当者に出演していただきました。


匠カフェ(10/21-10/24)

これまでの「後鳥羽院遷幸800年記念事業」などを通じて生まれたご縁もあり、刀剣研究家・金工作家・石州和紙の伝統工芸士・絵馬師・写真絵本作家である皆さんに「匠」として来島いただき、さまざまな体験教室を開きました。

刀剣研究家ポールさんとは「日本刀鑑賞&手入れ体験」、日本刀の鍔(つば)などにデザインを彫られている金工作家 泉さんからは「彫金体験」、ユネスコ無形文化財 石州和紙の伝統工芸士である川平さんからは楮がとけこんだ原液を混ぜるところから紙漉きをした「和紙漉き体験」、絵馬師 永崎さんからは絵馬にこめられた願いや描き方などを教えて頂いた「和風画体験」、絵本写真家キッチンミノルさんとは「800年前のごとばんさんの和歌に現代ならではの写真表現で返歌を贈ろう」などを実施して、多くの方に喜んで頂くことが出来ました。


海士の「うた」に触れる ~季節回遊魚と「和歌・短歌・俳句」の世界~(10/21-11/4)

町内の4事業者、「和歌」(隠岐桜風舎)×「水族館」(海士町教委 Entoジオ事務所)×「図書館」(海士町中央図書館)×Ento(株式会社海士)によるコラボレーション企画。後鳥羽院(ごとばんさん)が大切にされた歌文化の広がりを現代の視点で伝えようと、ごとばんさんや島内外より送っていただいた「うた」、隠岐周辺に棲む魚たちの「水族館」、特設図書コーナーなどがEntoジオラウンジに出現。

ごとばんさんの「うた」を、アート×サイエンス×文学でしつらえた空間で、ゆったり、お絵描き・カードゲームなどで楽しんでいただいたり出来ました。

「波」「海」「月」「生きもの」「島」にちなんだ「うた」を国内外より募集して展示
暖流にのって隠岐近域までやってきた「死滅回遊魚」らを紹介。


移動美術館(10/21-11/4)

海士町では、毎年町内の小学6年生が「子ども議会」という場で「私は、こんな海士町を実現したい」と町長・副町長・各課長・議員さんが集まった議場で提案する機会があります。

この「移動美術館」は数年前に小学6年生だった子が思い描いた「地区に住むおじいちゃんおばあちゃんが見に行ける美術館がやりたい!」という思いに今年度の大人の島留学生が着目し、実現した企画。島内在住の画家の油絵、海士町LINE@で公募させていただいた島内外皆さんからの海士の文化や風景をあらわす写真たちをメイン展示とする「移動美術館」が4地区の公民館を巡回。

その場で体験いただける「水彩にじみ絵体験」も人気。何より、地区それぞれの「憩いの場」として、1日に何度も足を運んでくださる方も。「アート」のある「日常」の中で、たわいもない話から、来場者の心にある海士町が語られる、「アート」からはじまる交流が生まれる時間となりました。


ごとばんさん伝統文化未来教室(10/28)

隠岐4島にさまざまな民謡が唄い継がれており、海士町でもお祭りの機会などさまざまなシーンで民謡を耳にすることがあります。歌詞の中には後鳥羽院の他、島の名所や娯楽も登場することから、唄を通して先人たちが感じた島の美しさを知ることで島の文化を未来へつなぎたい!と体験教室を開催しました。

これまで、町内では「子どもたちが民謡を踊る」機会はありましたが、「唄う」という機会がほとんどなかったため、唄い方を丁寧に楽しく教えていただきました。三味線など和楽器も触らせてもらい、初めて挑戦する「唄」とともに踊り親しんだ時間。愉しかった雰囲気が届くでしょうか!


ごとばんさんMAKE LIVE in AMA(10/28)

「美ama実行委員会」による、素敵な持ち込み企画!
夜の隠岐神社を会場に、それは美しくて、荘厳な場に、運営&ご参加の皆さん一同で固唾をのんだ時間でした。

当日は、ごとばんさんを題材としてメイクアップアーティストによるメイクの実演自体を演目としてご覧いただき、その後メイクを終えたモデルさんたち(全員が島民の皆さんでしたので、あの人も、この人も!とご家族含めて応援と感動がたちこめ、颯爽ときらびやかに歩く姿に感嘆のため息がでていました)がレッドカーペットをモデルウォークしました。多くの方におみえいただき、空間演出、ストーリー仕立ての「メイクライブ」大成功でした!


隠岐神社で出会う、光の散歩道(10/29-11/1)

こちらも、日没以降の隠岐神社を舞台に開催。3つの「光」のインスタレーション作品を体験いただく1時間半のプログラムを、4晩連続で行いました。800年前に、海士町へいらしたごとばんさんは、ここ隠岐・海士町でどんな時間を過ごされ、どんな景色をご覧になったのだろう?以降も流れてきた時間、これからも流れていく時間、「私」たちと「土地」とのつながり、「いのち」について、「光」を通じて思いをはせました。

また、光を介して、普段は異なる生活を送っている参加者同士の語らいも。蛍の光のようにともる光の球が境内のあちこちに現れ、境内や参道を移動する光景は、まさに幻想的な時間でもありました。

心臓の鼓動のリズムにあわせて光る球「kodou」や、
しかけていただいた「柱」に触れるとふと遠くの樹のたもとが光る「jinen」。
「この夜散歩でどんなことを感じましたか?」を筆ペンで書いていただき、神社境内や参道で拾った枝や葉っぱに、レーザープリンティングのお土産。


海洋プラスチックプラでアクセサリーをつくろう(11/3)

「島前高校地域国際交流部」主催、もともと独自開発されていたワークショップを今回の芸術祭用に仕立てて頂き実施しました。「海洋プラスチックを用いたアクセサリーづくりを通じて、離島である隠岐・海士町の生活環境や海洋ごみの現状、世界の暮らしについて、楽しみながら目をむけてもらえる場にしたい」という思いの企画。

今回は、隠岐へみえた当時、現在の崎地区にごとばんさんがたどり着かれたという伝承の下、崎周辺の海洋プラスチックを素材に、思い思いのアクセサリーづくりを行いました。終盤には、海士町の海に関して「知る」機会としてクイズも。親子で楽しく、海と私たちの暮らしのことを知り、話す時間になりました。


島民劇mini「新島守」(11/3)

2年前に実施した「島民自らでつくり、演じる劇=島民劇」が大変好評をはくしたため、そこから派生した「ミニバージョン」企画として上演。もともと「ごとばんさんが800年前に暮らされていた当時を、演劇体験を通じて、みんなで想像をしてみる場」として生まれた島民劇ですが、その思いが引き継がれて「みんな誰でも島民劇、次の主役はあなただ!」をコピーに開催。脚本も役者も新たに、2か月の練習を経て迎えた当日は、会場満員御礼!

コミカルで笑える場面を多く取り入れた作風は、開演直前まで演者たちが「はたして笑ってくれるかな?」「そもそもお客さんは来てくれるかな?」と悶々としていましたが、次々に笑いも起こり、会場との一体感、「よかったね」「また観たいね」「次は私も(島民劇)やりたい!」と舞台にかけよる子どもが出るなど、文化が「伝わる」「つながる」場面が多くあった時間になりました。


AMAFES 2023(11/4)

ごとばんさん芸術文化祭の大トリを飾ってくれた「AMAFES 2023」。
もともと、数年前に好評を博した「AMAFES」という音楽イベントを知り自分でも企画したいと思い、島留学生として隠岐島前高校へ入学した一人の女の子がいました。コロナ禍に入学し、あまり大きな声を出す機会がなくもどかしく思っていたほかの高校生たちへもその思いが伝わり、発案。町内の中村旅館店主に相談をして、実現した企画です。

約1年間の準備期間の中では、海士町ガバメントクラウドファンディングでも多くの皆さんに心強い応援をいただき、島内外のアーティストの皆さん・多根神楽団の皆さま・隠岐島前神楽同好会などの多彩なゲストに舞台にあがっていただき、観客と一体に白熱した1日となりました。

その他、「まるどマーケット」のコラボ出店もしていただき、音楽に食にと大賑わいの一日。「むずかしそう。でも本気でやりたいなら、やってみよう」という気概が、多くのプロフェッショナルの協力、たくさんの応援、企画運営チームの汗と涙で結晶しました。まさに「100年後の島にのこしていきたい」文化そのものでした。


ぐるっと偉人伝★脱出ゲーム(3/9)

当初、11/4開催予定でしたが、雨天により年度末に日をあらためて決行!
「後鳥羽上皇」をお祀りする隠岐神社の周辺には、上皇の他にも蹴鞠や和歌の達人だった「飛鳥井雅賢さん」のお住まいだった場所、お墓、出雲の日御碕神社検校の「小野尊俊さん」をお祀りする推恵神社があります。

そんな3人の偉人について、楽しみながら触れる時間にしたい!と、《歴史》《クイズ》《体験》を盛り込んだ脱出ゲームは、沢山の関係どころを巡りながら、ごとばんさんの風を肌で感じることができた時間となりました。




第1回のごとばんさん芸術文化祭レポート、いかがでしたでしょうか。今年の秋にも「第2回ごとばんさん芸術文化祭」開催を予定しています。みなさん、ぜひご期待ください!!
海士町noteで後日また詳細をお届けさせてください✨


島との距離は離れても、気持ちはいつも近くに