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協力者募集中!隠岐島前高校20名の生徒が仕掛ける、地域共創科のプロジェクトとは?

隠岐島前高校の「地域共創科」では、現在20名の生徒さんが地域を共創するため、授業内で一人ひとりのプロジェクトを進めています。
未利用魚や星空、ジェノベーゼ、モビリティ…!?

「地域共創科」の生徒たちは、地域とどのような共創を考えているのでしょうか?

地域共創科のみなさん


「島まるごと学び舎」という思いを込めている隠岐島前高校

隠岐島前高校では、島という特性を活かし、島前地域全体をフィールドに島全体を学舎ととらえ、分野・業種・問題・島の方の思いなど、地域との関わりを大切にしています。

そんな中、2022年4月に設立されたのが「地域共創科」。
「仲間と共に、大人と共に、地域と共に、意志ある未来を創る」をキャッチフレーズに掲げ、今まで以上に地域をフィールドに生徒たちがより自由に学べることを目的とした学科です。

教科学習の時間、知識や座学で学ぶことも引き続き大切にしていきながら、実学、地域社会で実践するリアルな学びをさらに大切にしていく「地域共創科」は、現在2年生の生徒さん20名が1期生として在学しています。

▼地域共創科についての詳細はこちら


地域共創科の授業&インタビュー!🎤

地域共創科では週に1回、毎週木曜には地域共創DAYという授業があるとのことで
年明け一回目の授業にお邪魔してみることに!

授業中のようす


地域共創DAYは、丸1日をつかって地域に飛び出し、地域のリアルな現場で実践的・探究的に学ぶ時間を設けているとのこと。
この日は3学期1回目の授業だったため、新年のあいさつに加え、それぞれのプロジェクトの現状報告・3学期のプロジェクト進行について話をしているようです。

今回は、二人の生徒にそれぞれのプロジェクトなどのお話を聞いてみました!!

 2年生の田村さん(左)と是永さん(右)


━━本日はよろしくお願いします!
まずは田村さんから、お話を聞かせてください。地域共創科ではどのようなプロジェクトを進めているのでしょうか?

田村さん:
僕は、海士町で獲れた「未利用魚を再利用」するという活動をしています。
未利用魚というのは、大きさや傷など何かしらの理由で利用されない魚のことで、海士町の定置網漁でも、市場に出荷できない魚があります。

休日に、海士町崎地区で定置網漁をしている漁師さんのところへ漁のお手伝いに行ったときに、1ヶ月に約3トンもの未利用魚が発生してしまうという現状を漁師さんから教えていただいて、魚に対してかわいそうだなと思いました。
3トンは隠岐牛5頭分、牛丼が6000杯も作れる量です。

なんとかしたいと思ったのが未利用魚プロジェクトを始めたきっかけです。

インタビュー中の田村さん

━━今、未利用魚を活かして活動していることはありますか?

田村さん:
海士町で11月に行われた産業文化祭で、定置網漁の漁師さんと一緒に未利用魚で作ったブリ大根を出店しました。
次はまるどマーケット(島のマルシェ)にも出店してみたいですが、それだけだと単発的になってしまうので、自分が島を離れた後も未利用魚を減らせるような取り組みを考えていけたらいいなと考えていますが、具体的な案はまだ浮かんでいなくて…
漁師さんとはまだ2回しか会えていないので、もっと休日とかを使って漁師さんに会いに行って、相談していけたらと思っています。

未利用魚(田村さん撮影)

━━12月には地域共創科の中間発表会もあり、地域のみなさんにもそれぞれのプロジェクトを聞いていただく機会があったようですね。

田村さん:
はい、色々な意見を聞かせていただきました。
一番印象的だったのは、僕は定置網漁で揚げられた未利用魚をどうするかということを考えていたんですけど、発表を見に来られた方に「漁の網の大きさを変えれば網にかかることはないんじゃないか?」と意見をいただいて。
「確かに」って。それが1番印象に残っています。違った視点から意見をいただけたのでありがたかったです。


━━地域のみなさんの意見を聞くことで、自分では考え付かなかった解決策なども思い浮かんできそうですね。是永さんはどのようなテーマに取り組んでいますか?

是永さん:
私は、「島前の星空」というテーマでプロジェクトを進めています。
島に来て最初に「すごく星がきれいだな」と思ったのですが、昨年1年間を過ごしてみて、星空がイベントなどで生かされていないことに気がつきました。
私は小さい頃から地元の滋賀県で星空観察会に参加していて。星空案内人という方から星の楽しみ方を教えてもらい、その観察会から星に興味を持つようになりました。

インタビュー中の是永さん

━━是永さん自身も、海士町のいろんな場所で星空観察会を行っていると聞きましたが…

是永さん:
一番最初は隠岐國学習センターで高校生向けに星空観察会をやってみました。
自分が案内役になるのが初めてだったので、そこに対しての不安が大きくて、まずは身近な高校生から。
その後ゼミの先生から、観光の分野で海士町のグランピング施設TADAYOIさんに行ってみる?と提案していただいて、お話しさせていただいてみようと…

グランピング施設、TADAYOIでの星空観察会

是永さん:
最初はTADAYOIのスタッフさん向けに開催しました。
色々とアドバイスを受けながら、星の説明に独自性をどう出していくかというところを悩みました。
「星空観察会を海士町で行う魅力ってなんだろう?」って。
それを伝えることが自分にとっては難しかったです。
水瓶座だったら、「島は地下水が溜まりやすい構造になっていて、海士町には天川の水という湧水があります。海士町って水瓶みたいに水が湧き出ているんだよ」と話をつなげたりと海士町らしくなるように工夫してみました。


━━島の方々など、みなさんとこのプロジェクトをどうつなげていきたいなどありますか?

是永さん:
みなさんに星を好きになってもらいたいという思いはもちろんあるのですが、観察会をするということ、その中で人と人が関わりを持てる場所にできたらいいなと思っています。
星はそのきっかけという感じで。
星って島にとっては新しいテーマだと思うので、観光客の方と島の方が交流できる場にもなったらいいなと思っています。

海士町の星空(是永さん撮影)

━━毎週木曜日は地域共創DAYということで丸一日ご自身のプロジェクトと向き合っていると思うのですが、地域共創科のみなさんはもっと外に出ていきたい!いろいろな方と関わってみたい!という思いはありますか?

田村さん:
その気持ちはとてもあります。
もし声をかけてくださる方がいらっしゃるのなら、休みの日でも平日の放課後でも、島内いろんなところへ行きたいです。
今もたまに漁師さんと会ったり、魚捌きのお手伝いをすることもあります。いろんな方とお話ししたり、声をかけていただけたらとてもうれしいです。

是永さん:
地域共創科の中でも毎週外に出ている子もいるのですが、私は個人で考えてしまうことが多くなりがちです。
もうすこしほかの方の意見を聞いてみたり関わることで、また新しいものが生まれるんじゃないかなと思っています。
地域の方にインタビューしてみたくて島内を歩いてみたのですが、人に出会えなかったこともありました…


生徒さんお二人にお話しを聞かせていただいたところで、
隠岐島前教育魅力化コーディネーターの宮野さんにもお話しを伺ってみました。

━━地域共創科が始まって2年目になりますが、いかがですか?

宮野さん:
本当に探り探りです。一期生の子たちは本当に大変なこともあるかと思います。
一人ひとりが向き合っているプロジェクトはそれぞれが自分で興味のある分野だったり、島で生活していく中で見つけ出してきたプロジェクト。
もともと用意されているものではないので、うまく行ったり、行かなかったりすることもある。生徒たちも日々試行錯誤しています。

でも、一期生の子たちが作ってくれているこの時間がみんなにとっていい時間になったらなと思いますし、これから社会に出た時に、未来を切り拓く力になってつながっていくとも思っています。
その日のベストを尽くしています。

隠岐島前教育魅力化コーディネーターの宮野さん

━━地域共創科の生徒さんたちが卒業した後、どのような姿になっていくことが理想でしょうか?

宮野さん:
最終的には、しあわせかな。
島前地域というフィールドの中で、例えば未利用魚だったら、漁業という今まで関わったことなかったけれど興味があるなというところから関わるようになって、こういう問題があって、それをどう解決していこうかな?と考えたり。

元々やっている人はいなかったけれど「星が好き」だから何かできないかな?と考えたりすることは、卒業した後にどこかの地域や大学、企業に行っても活かせる経験なのではないかと思っています。

宮野さん:
自分の興味を軸に探っていって、仲間を見つけて。それが身近な人や周りの方にどうやってしあわせに感じてもらえるか。今やっていることはきっと、どこに行っても通用するようなことをしているはず。

生徒みんなにとって、地域共創科での経験が今後の人生に活きていってくれたらいいなと思います。
どこにいても今の学びがしあわせにつながっていくことを願っています。


━━最後に、読んでくださっているみなさんにメッセージをお願いします。

田村さん:
僕はまだ二人の漁師さんとしか関われていなくて。
未利用魚に対して課題感を抱いている方は、お二人以外にもいらっしゃるのではないかなと思っています。
未利用魚のことを知らない方も中にはいらっしゃるとは思うので、すこしでも興味のある方はお声がけいただけるとうれしいです。

是永さん:
星は、どこにいても普遍的なもの。星を使って何ができるのかとか、星に対する可能性をもっと広げていきたいなと思っています。
今気になっているのは、スマホがなかった時代は、夜どうやって過ごしていたのかな?とか昔の暮らしについてです。
星と直接的に関係する内容ではなくても、星だけの観点ではなく、いろんなことを知ってみたいです。
いろんなことをしている人に考えを聞きたいと思っています。

宮野さん:
出会いが大切なんじゃないかなって、二人の話を聞いて改めて思いました。
未利用魚も星も、何かテーマを持ち始めた、何かできないかな?と考え始めた。
一人で完結しようとするとそれ以上は広がりにくいけど、誰かと話すとか、誰かの考えを聞くとか、もしかしたらほかの方が実践している前例を聞けるかもとか。
全然関係なくても、こう思っている人がいるってことを知るだけでも世界は広がっていく。

島前地域内の方だけでなく、ほかの地域でも、世界でも、世の中に同じようなテーマを持った人との出会いもあったらいいなと思っています。

宮野さん:
地域共創科では、20名の生徒それぞれがプロジェクトを進めています。
未利用魚・星に限らず、色々なテーマに関心、話してみたいなと思ってくださる方がいらっしゃったらぜひ一度ご連絡ください。

こういうことが一緒にできるかもしれない!という話があったらとても面白いのではないかなと思っています。
よろしくお願いします!



地域共創科、2年生のプロジェクト☝️

地域共創科2年生のプロジェクト一覧はこちら(2024年1月時点)。

・隠岐の食材でジェノベーゼソースを商品化する
・未利用魚を再利用
・フードロス
・サーキュラーエコノミー
・異質の共存を学校教育の視点から考える
・お金と教育
・食で繋ぐ地域と寮
・海洋ごみ
・森の遊び場
・地域のみんなが集まる場所
・商店と島
・海士に未来の移動手段を
・デジタル推進委員会
・休日にできること
・お年寄りが楽しめる時間づくり
・竹の六次産業
・インバウンドinAma
・異文化理解を通して
・島前の星空
・本と図書館

興味のあるプロジェクトや言葉がある方は、

島根県立隠岐島前高等学校 教員:三島健士朗
Tel:08514-2-0731

までご連絡、お待ちしております!



(R5年度 大人の島留学生:柿添・渋谷)


島との距離は離れても、気持ちはいつも近くに