【前編】高校生たちが夏休みに島で働いてみた!
7月22日~8月17日の間、海士町では島前高校生を対象としたローカル探究が行われました。
高校の夏休み期間を活用し、日中はインターンシップとして" 島の仕事 "をしながら、シェアハウスで共同生活をする" 島の暮らし "に挑戦するローカル探究。
ローカル探究に参加した4人の島前高のみなさんにインタビューをしました。前編の今回は、海士町版RESAS事務局・ハーンプロジェクト、豊田地区・海の駅松島でインターンシップをした2人の様子をお伝えしていきます。
ローカル探究とは
夏休みを活用した島前高校限定の短期インターンシップ。島留学生は寮が閉寮してしまうので、日中はインターン、生活はシェアハウスになります。
大人に島留学の高校生版として、島前高校生がこれまで学んできたことを用いて実践に移してみること、島で働き島で暮らすことを体験することを目的としています。
参加者のみなさん
ローカル探究に参加した島前高生は、女子8人、男子3人(島内生1人)の計11人で、海士町の崎地区と知々井地区のシェアハウスで生活していました。
3週間のローカル探究の期間中、週4日勤務、週1日研修となっていて、現地まではバスでの通勤となりました。
シェアハウスに住みながら自炊やご近所づきあい、買い物など、全て自分たちでしたそうです。(私はシェアハウスのハウスマスターを数日していましたが、みなさん楽しそうでした☺)
高校生を受け入れてくださった事業所
・海士町版RESAS事務局
・海の駅松島
・株式会社海士
・けいしょう保育園
・さくらの家
・海士町役場 地産地商課、人づくり特命担当、いわがき春香特命担当
※あいうえお順
それでは早速、インターンシップの様子をインタビューとともにご紹介していきます!
海士町版RESAS・ハーン
人づくり特命担当で、海士町版RESAS事務局とハーンプロジェクト(海士町の地域通貨)の仕事をしました。
海士町版RESAS
海士町にある様々なデータを一元管理して見える化できるシステムです。2021年8月にWEB上に一般公開しています。
※RESASとは、 日本の産業構造 や 人口動態、人の流れなどを集約し、可視化したシステムです。
海士町の地域通貨:ハーン
2005年につくられた海士町の地域通貨。
地域通貨とは、ある地域限定でつかわれる通貨のことで、地域内の経済循環を促し、コミュニティを活性化するために用いられています。海士町内では、1ハーン=1円で使うことができます。
-仕事内容-
◎海士町版RESAS◎
⒈データに触れてみよう
まず初めの業務は、データに慣れてみよう!ということで、海士町版RESASのデータを見ながらグラフを作成することでした。
⒉ヒアリング調査・会議に同行
ヒアリングの資料作りや、海士町版RESAS事務局のみなさんとの会議に同行しました。
⒊海士町版RESASを使ってプレゼン
同行だけでなく、1人で1つのことを成し遂げるのに挑戦してみました。
私の地元と海士町のデータを分析し、それぞれの違いや課題を見つけ解決策を考えました。
人口がどう増えているのか(自然増減・社会増減)、どんな影響が出ているのか、その課題をどうすべきか、ほかの市区町村を参考にしながら、事務局のみなさんに発表しました。
◎ハーン◎
⒈アンケート作成
ハーンを高校生にも使ってもらいたいことから、まず海士町の地域通貨にどういう印象を持っているのか高校生にアンケートをとりました。
⒉ハーンを使ってみての感想レポート
ローカル探究中にハーンを使用していたので、ハーンを使ってみての感想レポートを書きました。高校生の立場で、ハーンに触れてみてどういうことを思ったか、これからのハーンに活用できるようなレポートにしました。
⒊ハーンの会議に同行
会議に同行し、高校生目線で意見をさせていただきました。この3週間を通してずっとハーンの魅力を考えていたので、会議も楽しかったです。
オンラインでプレゼンしていました。ぎっしり書いていたメモに感服。
ー島で働いてみてどうでしたか?
3週間では足りなかったです。
もう少し時間があれば!あれもこれもしたかったです!
ふだんは高校の中にいて外に出る機会がなかったので、働いてみていろいろな人と関われたり、データという自分の知らない角度から海士町を見ることができたり、
地区を知るきっかけになったり、仕事での学びのほかに” 海士町 ”を知ることができてうれしかったです。
役場で働かせていただいたことで、海士町の現状が見え、新しい海士町の見方ができていい経験になりました。
海士町の人口分析をしてみて、人口が減っていることに驚きました。全国的に有名な海士町なので、なんとなく増えてる気がしていました。今は海士町に転入する大人の方はどういう人なのか気になっています。
この3週間で海士町版RESASとハーンが大好きになりました!
ー働いてみて学んだことを教えてください。
1つ目に事象・問題・課題を区別し、理解すること。
2つ目にどういう思いをもっているのかをしっかり伝えること、伝えるために工夫して諦めないこと。
3つ目にこうしたら良いかもだけでなく、こうしたらどのような影響が出るのかを考えることです。
なんでそれが良いと思うのかの根拠が大切になっていくと思うので、特にハーンの仕事をさせてもらったとき、気持ちの部分と現実的な部分、理論的な部分で折り合いをつけるのが難しかったです。
また、この3週間で自分の強みが目の前のことに没頭できることだと気づけました。
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岡さん、ありがとうございました。
感想を聞いてみると、ディズニーに行くよりも海士町版RESAS・ハーンのことをもっと考えたいとのこと。楽しそうに仕事をしているのが印象的でした。
豊田地区・海の駅松島
林さん 2年生
豊田地区をフィールドに、地区に関する業務や、海の駅松島(水産加工グループ)の仕事をしました。
-仕事内容-
⒈公民館の掃除・庶務
豊田地区のためにできること、豊田地区に関する仕事をしました。災害に備えての準備も行いながら、区長さんの仕事を手伝わせていただきました。
⒉海の駅松島でアカモク(海藻)の加工
アカモクを切って乾燥させるなど、アカモクの商品加工の手伝いをしました。
⒊祭り(ホーライエンヤ)の手伝い
船の塗装や、壊れたときに作り直せるよう祭り道具の記録をとりました。また、当日に必要な情報(名簿、順番など)をまとめました。
⒋広報誌作成
新しく豊田地区の広報を作ろうということで、「豊田便り」を制作しました。まだ完成していないので、ローカル探究が終わった後も携わる予定です。
⒌海の駅松島で店をオープン予定の方の手伝い
お店ののれんやTシャツのデザインを考えました。こちらもまだ完成していないので、引き続き携わる予定です。
ー島で働いてみてどうでしたか?
私の中で働くとは、チームに属して勤務し、大変なことしかなさそうなイメージだったけど、実際に働いてみて、仕事って楽しい!と思いました。
大人になってからもずっと、このような仕事の仕方ができるわけではないと思うけれど、暮らしの中に仕事があるような感覚で、仕事と暮らしが混ざっていることが心地よかったです。仕事というイメージが明るくなりました。
受け入れ先の方とミーティング中
そして人生の中で1番、人のあたたかさを感じたように思います。おすそ分けいただいたり、人の優しさをたくさんいただきました。
車で送ってくださったり、アイスをいただいたり、タオルを持ってきてくださったり、地元では感じることのない親切さをいただき、初めての体験でした。
また豊田地区ではあまりなかった、データに残すことをお手伝いできたこともうれしかったです。自分ができることだけを無理やり押し付けず、まわりのニーズにあわせながら地区に還元できたようでほっとしました。
ーこれから活かしたいことについて教えてください。
みなさんのやさしさをいただいて、自分も人にやさしくしたいと思いました。周りをしっかり見ていきたいです。
そして、これからも豊田地区のみなさんの力になりたいです。「林さんがいたから、本当に助かった。」って思ってもらえることが目標です!
お店のデザインを考え中
自分の特技は英語だけだと思っていたけど、意外と自分が好きなものやできることがあって、なんでもやってみないとわからないなと思いました。だから、英語に限らず知らない分野にも挑戦していきたいです。
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林さん、ありがとうございました。
仕事がこんなに楽しくいいのかな~と言っていたのが心に残っています。自分にあった最高の仕事ができたようで取材した私もうれしくなりました。
後編は、有機栽培で野菜を育てているムラーズファームと、島で唯一のホテル×ジオパーク施設entoを運営する株式会社海士でインターンをした高校生2人のインタビューです。
▼ 【9/10公開!】後編もぜひご覧くださいね