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「崎みかん」で学んだ、顔の見えるコミュニティの大切さ

JICAボランティア事業では、隊員の皆様の帰国後の活躍支援やボランティア経験の社会還元の促進にも取り組んでいます。その一環として、帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有するJICA海外協力隊合格者に対し、自治体等が実施する地域活性化、地方創生等の取組み「グローカルプログラム(派遣前型)」を開始しました。海士町も10月から12月まで3名のグローカル生が着任し、地域で活動しています。今回はそんな3名を紹介したいと思います。

前回のグローカル生の記事はこちらです。


お話を伺った人 :
山本あすか(23)
鹿児島県垂水市出身。大学では中高の体育の教職免許を取得。中高はテニス部で大学はラクロス部。半年間は地元鹿児島で乳業メーカーに就職し、スーパーやコンビニを周る営業。
派遣国:東ティモールで体育教員


海士町の暮らしはどうですか?

山本さん:
こっちに来てから散歩するのがほんと楽しいなと思います。街中を歩いていて、突然話しかけても必ず会話を続けてくれることが本当に嬉しいですね。特に、この前港を歩いている時に高校生が話しかけてくれて。釣りの仕方とか丁寧に教えてくれたんです。

自分が高校生の時は知らない人とふらっと会話をするのはなかったのですごい新鮮ですね。1人に繋がると、この人はこういう人だよ。この人はこんなことしている人だよ!と芋づる方式で全員を紹介してくれて、いろんな知り合いが増えていくのが不思議だなと思います。


海士町ではどんな活動をしていますか?

山本さん:
海士町の南の方にある崎地区でみかんの出荷のお手伝いをしています。みかんはこの時期が繁忙期なので 海士町の最南端に位置する崎地区では昭和30年頃にみかんの生産がはじまり、おもに隠岐群内で消費されていました。

ところが近年、栽培農家の高齢化や後継者不足により、昔からこの崎のみかんが大好きなのに、このままでは消滅の危機に!とのことで海士町役場が始めた「崎みかんプロジェクト」に丹後さんを含めたIターン者が手を上げて移住してきたんです。その方と収穫や販売のお手伝いを主に行なっています。

丹後さんと出荷準備をする山本さん

山本さん:
地域の方に何してるの?と聞かれたときに、
「崎みかんです!」と答えると
「崎のみかん美味しいよね〜!」とみなさんおっしゃって。

再生プロジェクトが開始して、約10年ですが、みんな知ってくださっていてうれしいです。産業文化祭にみかんを出展したんですが、100箱くらい持っていって残ったのは2個くらいで、完売してしまって。ほんとに求められているなと思います。


みかん畑が交流の場に

山本さん:
今が収穫のピークで、小学生から、高校生、地元の方、島留学生など本当にいろんな方がボランティアでお手伝いにきてくださって。まじめに黙々と作業する瞬間も、たわいもない話をすながら楽しく作業する瞬間も両方が好きな時間です!

島前高校生がお手伝いに!!

山本さん:
私もそうなんですけど、初めましての方同士が、「みかん」のお手伝いを通してつながっていく。これって、すごく素敵なことだなと思います。

作業した達成感も一緒に味わうこともできて、気が付いたら仲良くなっちゃうんですよ。みかんってなにか持っていると思いますね。笑

3ヶ月間「崎みかん」で、つながった出会いを大切にしたいと思いますし、島を離れても、これから出会う方々を「崎みかん」につないでいけたらいいなと思っています。

小学生もみかん畑にきてくれました!


「みかん」と「国際協力」はおんなじかも

山本さん:
私は、カラダ動かすことと、知らない世界を知ることが好きで、中高はテニスに没頭して、大学からラクロスを始めたり、格闘技を始めてみたりしていました。

社会人になってからも、いろんな人と出会っていろんな場所に行って死ぬまでにしたいと、青年海外協力隊として東ティモールで体育教員の道を選びました。

海士町での「みかん」と東ティモールの「体育教員」って、どうつながるか始めはわからなかったです。

山本さん:
でも、海士町に来て約1ヶ月。縁もゆかりもない土地に越境して「よそ者」として飛び込んでみること、みかんを通した出会いや経験が詰まった濃密な日々が待ってたんです。

海士町で実際に暮らして気付いたことは顔の見えるコミュニティがほんとに大切で、だからこそ、目の前の相手とより深く関わっていくことができるんじゃないかとしみじみ思っています。

これは、まさに自分のやりたかったことだなと思って。毎日が最高に楽しいです。ここ(海士町)にきてほんとよかったな心から思うんです。確かに、みかんを含めた、一次産業、海士町が直面している課題と東ティモールの抱える問題は全く別だと思います。

でも結局、今が最高に楽しいと思える日々を過ごすことが1番じゃないですか。海士町での研修を終えると、次は2年間東ティモールで生活が始まりますが、目の前の人を大切に楽しんでいきたいです!

大人の島留学生と青年海外協力隊の同期に誕生日を祝ってもらいました!




あとがき

薄皮で身がぎっしり、昔懐かしい崎みかん。みなさんにぜひ手にとって食べてほしいですね。 みかんの産地というと愛媛や和歌山県など比較的気温が温厚な土地で栽培されるイメージがありましたが、寒さの厳しい海士町で逞しく育ったみかんは酸味と甘みのバランスが絶妙で、どこか昔懐かしい、味がします!!ぜひ召し上がってくださいね!

文:大人の島留学生 住岡尚紀

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