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海士町のお土産"島かんぺ"と、人でつながる新たな取り組み
海士町でつくられてる「そのまんま」と「かんぺもち」。実はどちらも同じ材料が使われています!なんだと思いますか?
それは「島かんぺ」という商品。
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(撮影:島体験生)
でも、使っているのはただの島かんぺではなく、規格外に仕分けられ商品にできなかった部分なんです。これまでは廃棄になることも多々…しかし、そんな食品ロスを減らすための取り組みが行われています。
島かんぺは、100%海士町なお土産
「島かんぺ」とは、海士町で生産されたサツマイモだけを使用した、素材の優しい甘さを感じる無添加の干し芋のことです。シルクスイートという品種のサツマイモを採用しており、農家さんに育てていただいたものを海士町役場・地産地商課が加工して販売しています。生産から製造・販売までが海士町内で完結する、100%海士町な商品です。
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(撮影:島体験生)
海士町では干しイモを「かんぺ」といいます。古くから海士町の各家庭で手作りされてきました。
原材料はさつまいものみなので、小さなお子さんも安心して食べることができます。ヨーグルトやアイスに混ぜたり、トースターで少し焼くのもおすすめ🥄
規格から外れてしまう部分を救いたい
島かんぺをつくる製造過程の中で、どうしても商品にはできない部分が出てしまうんです。それは色や形、やわらかさなどの規格から外れてしまったもの。
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もちろん味や成分は商品になるものと変わりません。そのため、無駄にならないよう、これまで色んな施設が買い取ってくれたり、譲ったりしていました。しかし、商品になる部分よりも規格外になってしまう部分が多くなってしまうこともあり、それだけでは全てをさばくことはできず、やむを得ず廃棄となってしまうこともありました…
そんな商品にできない部分を救いたい!という思いから、現在2つの活動が行われています!
取り組み① そのまんま(スイートポテト)
一つ目は縁に縁が重なって引き継がれた取り組みです。始まりは昨年度の島体験生である佐藤奈々子さんがきっかけでした。
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島体験生として海士町役場・地産地商課に所属し、様々な活動をおこなった佐藤さん。その中の一つとして、しゃん山での販売・接客・加工・商品開発を担っていました。
佐藤さんは、島かんぺの食品ロスを改善するべく、規格外の島かんぺを活用して商品開発することにしました。
そこで開発されたのが「すいーとぽてと」。
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しかし、佐藤さんは3か月の島体験終え、現在この海士町にはいらっしゃいません。では誰が作ってくれているのでしょうか?
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実は、隠岐島前高校の2人が佐藤さんのスイートポテトを引き継いでくれているのです。諸泉 実(みのり)さんと山村 みのりさんで、なんと奇跡的にダブル”みのり”さんなんですね!お2人に経緯を聞いてみました。
ーーどういった経緯で引き継ぐことになったのですか?
山村さん:隠岐國学習センターに通っているのですが、たまたまそこで佐藤さんが島かんぺの食品ロスについてのお話をしてくださったのが始まりです。
私たちも食に関して興味があったので、話を聞いた後、声をかけて今度遊びに行きますねってくらいでそのときは終わりました。
後日、実際に遊びに行ったら、たまたま通りかかった地産地商課の方が佐藤さんに「佐藤さんが帰っちゃったら引継ぎどうしようかと思ってたし、もしよかったら私たちに引き継いでもらって長く関わっていけたらうれしいね」と提案をしてくれたんです。
諸泉さん:私としても、将来食に関する仕事につきたいと考えていましたし、それこそフードロス減らしたいよねっていうことを言っていた時に丁度そういう提案をしていただけたので、自分の興味とも重なるしやってみたいということでやらせていただくことにしました。
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現在は製造を完全に引き継ぎ、イベントがあるときなどに合わせて、不定期で作り販売しています。
スイートポテト以外にも、さつまいもペースト入りのクリーム大福「ぽてっと」というものも作っているそうです。こちらは製造に時間がかかってしまうので、期間限定で出すか、または大人の島留学生と一緒に作るなど、検討中だそうです。楽しみですね!
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取り組み② かんぺもち
二つ目は、JICAのグローカルプログラムに参加し、海士町で実習をされた七瀬さんの取り組みです。実習期間中にどんなことをして過ごそうかと考えていた時に、島かんぺの食品ロスを知った七瀬さん。あるアイデアを思い付いたそうです。
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七瀬遥さん
長崎県出身。管理栄養士として自治体で勤務していたが、長崎県から出てみたいという想いがつのり、青年海外協力隊へ。海士町では、派遣前実習のグローカルプログラムで4月から3か月間の実習を行っていた。
ーーどんなアイデアを思い付いたのですか?
七瀬さん:私の出身地である長崎県には、「かんころ餅」という郷土菓子があります。これは、干し芋・もち米・砂糖があればできるので、それを参考にした商品開発ができそうですね、と地産地商課さんにお話を持ち掛けたところ、快く承諾してくださり、やってみることになりました。
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ーーなぜかんころ餅だったのでしょうか?
七瀬さん:海士町のお土産にぴったりだと思ったからです。かんころ餅は冬期の保存食としてつくられるものなので、長期保存に適しているおり、お土産としても◎
また、海士町は離島ですが湧水が出るため、もち米の生産もしています。海士町のかんぺ・もち米で、海士町らしいお土産品が作れるのではないかと思いました。
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七瀬さん:それに、私は実習期間が終わったら海士町から離れなければなりません。なので、工程がシンプルなものなら他のみなさんに引き継ぎやすいので丁度よかったポイントです。材料はたったの3つですし、機械でつくれちゃいますから!
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このパッケージも山村みのりさんがデザインしたそう!
(撮影:島体験生)
地産地商課の人や知人に味見をしてもらいながら開発を進めて完成したのがこちらのかんぺもち。コロンとしていて食べやすい大きさになっています。5月28日のキンセンプチ屋台というイベントでお披露目され、大好評だったとのこと!
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おイモとお餅でできているので、美味しいうえに腹持ちも抜群。ちょっとトースターで焼くだけで食べることができ、おやつや朝食にもおすすめです。
キンセンプチ屋台での様子はこちらを。
環境に優しい特産品となるように
島かんぺの食品ロスを減らすための2つの活動について、かんぺもち開発当時、地産地商課で勤務されていた渡辺さんに一言いただきました!
渡辺さん:原料のシルクスイートを無駄なく加工品として利用したり、
端材に高付加価値を付けて販売することで、原料を高く仕入れることが
できるようになり、シルクスイートの生産者のみなさまが栽培を継続していただける可能性が高まります。
また、使われず処分していた端材の有効活用は、食品ロスの課題も解決して
くれる活動だと思いますので、シルクスイート生産者さんや環境にも優しい特産品となるように、引き続き取り組みを進めていただけたらありがたいです。
みなさん、ありがとうございました!
島かんぺとかんぺもちは菱浦港内のしゃん山で販売中です。そのまんま(スイートポテト)も売られていますが、出会える確率はかなり低めなので、見つけたときには迷わずどうぞ!