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自分で育てた「もち米」で作る本みりん「海士の本みりん 儘(mama)」

海士町の自然の”まま”に育った、海士町のその”まま”の味を感じる「海士の本みりん 儘(mama)」。海士町のお米から作られた本みりんができました。

「海士の本みりん 儘 mama」を手掛けたのはみやざきサービスの宮﨑さんご夫婦。自家生産された「もち米」を原料として、愛知県の九重味淋株式会社さん(以下、九重味淋さん)のもとで製造されています。

今回は、宮﨑さんご夫婦に「海士の本みりん 儘 mama」を作るきっかけや、特徴、オススメの使い方などを取材しました。

左:宮﨑 雅也さん 右:宮﨑 美穂さん

海士町の食材を活かす調味料

「二人とも食いしん坊のため、おいしいものを求めていたら、自然と食卓に、季節のものと、発酵食が並ぶようになった」という宮﨑さんご夫妻。

発酵させた食品は、やっぱり身体が元気になると感じるそうで、味噌や醤油など、自家製の調味料を作られています。

そんな中、今回はみりんに挑戦。酒類でもあるみりんは、自家製造できないため、作るのが難しい調味料の1つでした。

 
―― 今回、本みりんを作るに至ったきっかけは何だったのでしょうか。

宮﨑 美穂さん:
「ある日、友人に九重味淋さんの商品をいただいたことがありました。それがすごく美味しくて、なんとなく九重味淋さんのホームページを調べてみたところ、『あなたが大切に育てたお米で本みりんをつくりませんか。』という案内を見つけたんです。

みりんという酒類に挑戦できるのは珍しかったので、おもしろそう!と思い、お願いしてみることにしました。普段から自家製の調味料を作っていて、いつかみりんも作れたらいいなと思っていたので、すごくいい機会でした。」

九重味淋さんホームページより


―― 自家製の調味料をたくさん作られているんですね。どうして調味料を大切にされていますか?

宮﨑 美穂さん:
「食べるものを意識しはじめたときに、一番最初に変えたものが調味料だったんです。こだわって作られた美味しい調味料を使えば、少しの味付けで料理がすごく美味しくなると聞いてから、調味料は大事にしたいという想いがありました。」

海のものも、田畑のものも、海士町の食べ物はとにかく美味しいという宮﨑さんご夫婦。だからこそ、海士町の食材に色々な調味料を足すよりも、ほんのちょっとの美味しい調味料を使えば、それだけで十分美味しいと感じているそうです。

宮﨑さんが作った海士町で採れたメカブやワカメ、ワラビ、イカの塩辛


宮﨑 美穂さん:

「子どもたちがいることも大きいです。小さいうちに、素材の美味しさが分かる味覚ができれば、大人になってからも、体が求めているものを自然と選べるようになる、そうすれば健康で暮らしていけるんじゃないかなと思っていて。

健康な体があれば、自分のやりたいことができて、自分の人生を生きられる。だから夫と私が、こどもたちの将来のために今できることとして、日々の食事を大切にすることだと思っているんです。海士のおいしい食材と、その味を引き出す発酵調味料の存在はすごく大きいです。」

宮﨑さんご夫婦で麹をおこしているそうです

自然のままに育った海士町そのままの味わい

「海士の本みりん 儘 mama」は、愛知県にある九重味淋さんで製造されています。みりんの材料はもち米・米麹・米焼酎の3つのみ。みりんを作るのに必要なもち米は、宮﨑さんが自家生産されたものを、米麴と焼酎は、九重味淋さんで作られたものを使っているそうです。

宮崎 雅也さん:
「自分たちが大切に育てたお米で、みりんを作っていただけることにすごく価値を感じています。今、お米の値段がどんどん安くなっていますが、「土地の魅力が伝わるお米」の価値は、むしろ上がっていくのかもしれません。米麹やポン菓子などを作って感じたことですが、お米の違いは、加工品にすると、より鮮明に表れてくるようです。」
 

―― 「海士の本みりん 儘 mama」という名前にはどのような思いが込められているのでしょうか。

宮崎 雅也さん:
「みりんだけど、日本酒のような感覚で、飲み物としても楽しんでもらえたらと思い、我儘(わがまま)などに使われる「儘」という一文字にしました。我儘と聞くと、少しイメージが悪い気がしますが、実は悪い意味ではないんです。」

わがままとは、「自分の思うようにやりたいことをやる」ということ。お米が、我儘にすくすくと育っていることを表しています。

肥料や農薬を使わず、前年の藁だけを戻した田んぼから穫れるもち米。自然のままに育ったという意味が込められています。

もう一つに、海士町その”まま”の味わいであるという意味も込められています。もともと海士町の土や湧き水の恩恵を受けて育っているので、海士町の環境の味、風土の味を伝えてくれるのではないかと宮﨑さんは話していました。

 
―― 「海士の本みりん 儘 mama」が完成されていかがですか?

宮﨑 美穂さん:
「田んぼをはじめて10年くらいが経ちました。この10年間、何を大切にしていこうかと、色々なことを考えながら試行錯誤していたものが、ようやく今ひとつのカタチになったような、今までの苦労や試行錯誤を美味しいに変えてもらえたような感覚です。」

一般的に、お米の種は外部から購入したものが使われていますが、「海士の本みりん 儘 mama」に使用しているもち米の種は、10年近く自家採種を続けて来たもの。

収穫したお米の中から、よく育っているものを選んで種として翌年まき、育ったお米を収穫する。こうしたサイクルを続けていると、だんだん海士町の環境に適応したお米になっていきます。種の中に、今年どんな育ち方をしたのかが記憶されていき、種が環境を覚えて、だんだん風土にあっていく。

宮﨑 雅也さん:
「時には、性質のばらけた米も穫れるようになりますが、ちょっと違う特徴が出てきても、それはそれで面白いかなと思っているんです。食べる分には美味しいですし。

「海士の本みりん 儘 mama」は海士町で作っているわけじゃないけど、海士町の情報をちゃんと閉じ込めたお米だから、海士の味があると思っています。「儘 mama」には、amaという字も入ってますから(笑)」



このみりんが誰かの美味しいになるとうれしい

「海士の本みりん 儘 mama」は、現在Entôで販売されています。Entô Diningでは、ドリンクとしてオーダーすることができるほか、季節によっては、デザートメニューのジュレにも使用されており、お酒として、またデザートとしてのみりんを楽しむことができます。

柳陰(やなぎかげ)
江戸時代に楽しまれていたという、米焼酎と本みりんの和製カクテル。
Entô Diningでお召し上がりいただけます。

 
宮﨑 美穂さん:
「煮詰めてシロップにし、アイスクリームやプリンにかけたり、ドライフルーツやナッツに漬け込むのもオススメ。甘いブランデーのような風味で、色々な使い方ができます。

Entôで販売していただいているので、Entôを訪れる島外の方にも買っていただけていることがうれしいです。本土から来られたみなさんにもこのみりんを手に取ってもらえる。そして、本土に持って帰ってもらえる。色々な使い方で召し上がっていただけるとうれしいですね。」
 

Entôでの販売のほか、宮﨑さんご夫婦は、ご友人へのプレゼントやお礼としても、色々な方にお届けしているそうです。宮﨑さんご夫婦が作れないもの、獲れないものなどをいただいた時に、手掛けたみりんをプレゼントするなど、感謝の気持ちをお返しするものが作れて、うれしいと話されていました。


――「海士の本みりん 儘 mama」を販売されてみて、反響はいかがですか?

宮﨑 美穂さん:
「みりんが美味しいから何を作っても美味しい!との感想をいただくことも多く、うれしいです。自分たちで育てた田んぼの米を託して、色々な人の手が合わさり、みりんになる。その分また価値がつまって、もち米から新しい素敵なカタチが生まれたように思います。」

宮﨑 美穂さん:
「美味しいものを食べて、幸せじゃない人はいない。美味しいは人によって違うけれど、この「海士の本みりん 儘 mama」が、だれかの美味しいの1つになればうれしいです。」


おわりに

宮﨑 雅也さん、宮﨑 美穂さん、ありがとうございました。
「海士の本みりん 儘 mama」は、海士町のEntôにて販売しています。ぜひ、召し上がってみてください!


海士町のみなさんへ
海士町で新しく生まれた企画や新商品などがありましたら、ぜひ海士町総務課(TEL : 08514-2-0115)までお知らせくださいね。海士町noteやあまチャンネル(島のケーブルテレビ)などでご紹介できればと思います。


島との距離は離れても、気持ちはいつも近くに