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このまちで育った子どもたちに隠岐の海のすばらしさを伝えたい。【未来共創基金 海が好きになるマリンボート事業】

令和3年度、海士町未来共創基金では2つの事業が採択されました。宇野さんの「海が好きになるマリンボート事業(以下、マリンボード事業)」となまこ漁師会さんの「ナマコとともに生きていく(ナマコ資源増殖支援事業)」です。

事業を提案された宇野さんにマリンボート事業を行うきっかけや「アドバイザー・伴走者」という海士町未来共創基金独自のサポート体制についてお聞きしました。

海士町未来共創基金(運営:海士町未来投資委員会)とは、島の未来につながる事業への投資・共創を行うため、2020年12月に設置された基金です。日本全国のみなさんから応援いただいた海士町へのふるさと納税(年間全納付額の25〜30%程度)を活用し、新たな挑戦を支援します。

▼ 設立の経緯や基金について

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海士町の海を知ってほしい

マリンボート事業を行うきっかけを教えてください。

マリンボート事業提案者 宇野さん(以下、宇野さん):
近年、全国的にアクティビティや体験型観光が多くなってきてる中で、海士町でも海のアクティビティを体験してほしいと思っていますが、

町内には本格的な釣りをするための遊漁船はある一方、旅行で来られたファミリー層や、釣りを【体験】できるような遊漁船は、あまりない状況です。

僕自身も遊漁船業を行っていますが、本業の飲食店も営業している関係で、どうしても遊漁船業に手が回らないことが多いのが現状でした。もっと船長を増やして、僕がいけない日があれば代わりに行ってもらえるといいなと思っていたことが事業提案のきっかけです。

 また、隠岐の海をもっといろんな人に知ってもらいたいことも大きな理由でした。もっと島外の方に知ってもらわないと、島の魅力の一つが衰退してしまうと思っています。

宇野さん:
僕もそうなんですが、海士町の地元の方って、観光客のみなさんに海の魅力や、海士町の魅力を伝えることが得意ではないと感じることがあります。

もっと伝えたいことがあるのに、言葉にするのが難しいというか。伝えたいけど伝えきれない。でもこの海の魅力をしっかり伝えないといけない、そう思っています。

島という海に囲まれた場所なのに海の魅力を伝えきれないのはもったいない。マリンボート事業を行い、何度も観光で来てくださったみなさんと関わる中で、自分自身も隠岐の海のありのままの魅力を伝えられるようにしていきたいと思っています。


隠岐の海にどういう思いを持っていますか。

宇野さん:
もともとずっと隠岐の海が好きで、仕事でも趣味でも海に出ていることが多いですし、子どものころからも 釣りや潜りにいっていたので、海は自分にとって身近な存在でした。

10年ほど前に遊漁船業を始めてから、島外の方からの「海が透き通っている!」「こんな景色見たことない!!」という反応を見るたびに隠岐の海に対する印象が変わり、隠岐の海は魅力あるものなんだと改めて意識するようになりました。それと同時に、隠岐の海に対する誇りを持つようになりました。

宇野さん:
島で生まれ育った人にとっては当たり前の海ですが、海士に住むみなさんにも隠岐の海のきれいさを再認識してほしいなと思ってます。もちろん島を離れた海士町の子たちにもですね。

海士町では、海で行う仕事は漁師以外にあまりないので、海士町で育った子どもたちに僕の事業を見て、こういう仕事もあるんだ!と、もっと知って携わってくれるようになると嬉しいです。

 観光で来られたみなさんに隠岐の海を知っていただきたい気持ちももちろんありますが、やはり根底にあるのは、このまちで育った子どもたちに隠岐の海のすばらしさを伝えたいと思っています。

5年後の理想の姿を教えてください。

宇野さん:
海士町が『海に誇りをもって魅力を伝えられる島』であり続けたいです。

海士町に観光にこられた方が、遊漁船に乗って海の楽しさを知り、何度も海士町に来てくれるとうれしいですね。海の楽しさに加えて、様々な海の表情を知り、海の楽しさから怖さまで、海を体感していただきたいです。

宇野さん:
また、この事業に関わった地元の若者が、自分たちの海に誇りを持つようになり、漁師や遊漁船の船長など海に関連する職業で働きながら、その良さを島の外で自慢できるようになっているといいなと思っています。


新しい風を入れてくれる

海士町未来共創基金では、アドバイザーと伴走者が提案者の事業をサポートしてくれる独自の体制があります。一緒に事業を進めた感想を教えてください。

宇野さん:
アドバイザーの方がサポートしてくださり、毎日一緒に事業に対する動きを考えてくださいました。正直、アドバイザーの方がいないと、ここまで事業を形にすることは難しかったと思っています。

僕が事業に対して思い描いていたことを、伴走者の吉元さんが形にし、文章に書き起こしてくれ、アドバイザーの方が島外目線、経営者目線で新しい風、新しい構想を加えてくださいました。

もし自分一人で事業をゼロからつくるとしたら、まだまだ形にできていなかったと思うし、みなさんがサポートしてくださるので、やってみようと勇気がでました。

また、アドバイザーの方が島外の方であることも大きかったです。海士町に住んでいるからこそ気づきにくい点があったので、新しい考え方を加えてくれることがありがたかったです。

宇野さん:
アドバイザー・伴走者のみなさんとは何度も話し合いを重ねました。1、2時間ほど話をして、宿題のような形でいったん家に持ち帰り、再度考え直しました。何回も何回も話し合いをすることで、事業の展開が見えてきましたね。

ですが、まだまだ事業をよくすることができると思っているので、これからも時間をかけていいものにしていきたいと思っています。

例えば、船上で星空をながめたり、夕日映えをする場所を紹介したり、できることがたくさんあるなと思っています。事業をどんどん展開していきたいですね。

 

話し合いを重ねる中で、どういう変化が生まれましたか。

宇野さん:
はじめは遊漁船での事業を考えていましたが、アドバイザーの原田さんが昼以外にも、夕日や早朝、星空のクルージングがあってもいいんじゃないかとアドバイスをいただきました。

海士町の星空

また、事業を展開するにあたり、売上目標、単価などの数字やターゲット層などを一緒に考えてくださり、実現できそうなアドバイスをいただきました。本当に様々なところを一緒に考えてくださいましたね。


この事業を作るうえで、一番難しかった部分を教えてください。

宇野さん:
はじめの申請書の作成が一番難しかったです。自分が思い描いていた形を、どのように表現すると伝わるのか、頭の中にあった考えを言葉にするのがすごく難しかったです。

でも、まとまっていなくても言葉にしてみると、すんなりとわかってくれて、今まで言葉にすることを難しく考えすぎていたのかもしれないなと思いました。


これから事業を進めていく中で、楽しみにしていることを教えてください。

宇野さん:
今まで話し合ってきた内容が本格的に動きだしていきますが、絶対に成し遂げる強い気持ちで挑んでいます。いつか島の子どもたちに「おっちゃんの事業をしたい!」と言ってくれるとうれしいですね。

また、僕だけでなく、仲間の船長たちがこの事業を通してどのように変化していくのか楽しみでもあります。船長たちもずっと前からの知り合いなので、観光業に初めて関わるみんなの成長が楽しみです(笑)

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宇野さんありがとうございました。

次に、事業を伴走者としてサポートする吉元さんにお話をうかがいました。この事業が申請されてから共に走り続けている吉元さんに、この事業をするうえで大変だったことや、これから楽しみにしていることについてお聞きしました。


この島だからこそ必要な事業を

この事業を作るうえで、一番難しかった部分を教えてください。

事業をサポートする吉元さん(以下、吉元さん):
審査会の前の事前説明会で、海士町未来共創基金を運営する海士町未来投資委員会のみなさんに事業の説明をする機会がありましたが、その場面が難しかったです。たくさんの質問をいただき、まだまだ詰められていない部分があると再確認することができました。

海士町に住んでいるからこそ持っている考え方と、都会らしい考え方の違いがあり、その差に悩む部分も大きかったですが、何度も審査員のみなさんの意図を考え、宇野さんや原田さんと話し合いを繰り返し、改善できたと思っています。

吉元さん:
当日の審査会でも、竹本吉輝さんや枝廣淳子さんなど、たくさんの方に審査していただき、様々な職業・役職の方に聞いていただいたからこそ、この事業を形づくれたと思っています。

審査会の中では、審査員のみなさんは海士町をそういう視点で見てたんだという気づきになりました。

日本中、世界中で活躍されている審査員のみなさんが、ほかの地域と比べずに、この島だからこそ必要な事業を考えてくださっていることを感じました。

「ほかの地域でもこういう事例があるからこうすべき!」ではなく、海士町の取り組みを、海士町の海の良さを知ってもらいたいという思いを知った上で、事業が実際に成り立っていくのかを見てくださいました。


これから事業を進めていく中で、楽しみにしていることを教えてください。

吉元さん:
この事業拡大していくことで、新しい観光の形が生まれ、それをしたいという船長が増え、海で働きたいという子どもたちが増える・・・というような、もっとよりよい事業になるようサポートをしていきたいです。

海士町未来投資委員会としても、この取り組みを筆頭にどんどん新しい取り組みが増えていくことを期待しています。海士町でやりたいことがある方がいらっしゃればぜひ海士町未来共創基金を活用していただきたいですね。

この取り組みが一石を投じ、また新しい方が起業し、島が活性化していくことを目指していきたいです。


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宇野さん、吉元さん、ありがとうございました。

マリンボード事業は2022年5月から営業予定とのこと。来年の初夏に海士町を訪れてくださった際には、海のアクティビティを楽しんでみてください!

次回は、もう一つの2021年度事業である「ナマコとともに生きていく」についてご紹介したいと思います。お楽しみに!

▶▶▶「ナマコとともに生きていく」ナマコ資源増殖支援事業もぜひご覧ください✨



【11/20土】チャレンジフォーラム

~未来へ繋ぐふるさと納税を使った新たな挑戦の報告会~

ふるさと納税と未来共創基金について、これまでの取り組みをまとめ、海士町の「いまとこれから目指す姿」をぜひ知っていただきたいことから、チャレンジフォーラムを開催します。

チャレンジフォーラムでは、「これからのふるさと納税とまちづくりの未来」と題したパネルディスカッションや、

実際に初年度投資事業として採択された2件のチャレンジャーや運営を行う理事らからも現在の取り組みや想いを語っていただきます。

このイベントはYouTube LIVEで配信しますので、海士町のこれからのまちづくりやふるさと納税の活用に興味・関心のある方はぜひご参加ください!

チャレンジフォーラムには、ふるさとチョイスを運営する川村憲一さんや、海士町長の大江和彦さんにご参加いただきます。

 

イベント詳細

日程
11月20日(土)15:30-18:30

場所
島根県隠岐郡海士町 島民ホール + オンライン配信(海士町産業文化祭内のイベントとして開催します。)

※島民ホールで現地参加をされる方は直接会場にお越しください。(現地参加については、事前申し込み不要)

参加費:無料

内容
①海士町のふるさと納税と海士町未来共創基金の紹介 
AMAホールディングス(株)松田昌大/ふるさと納税商品提供事業者

②2021年度海士町未来共創基金採択案件の紹介
・「ナマコとともに生きていく」
・「海が好きになるマリンボート事業」

③一般社団法人海士町未来投資委員会理事より 「未来共創基金の可能性」
 代表理事:竹本吉輝氏((株)トビムシ 代表取締役)
 理事:白井智子氏(特定非営利活動法⼈ 新公益連盟 代表理事)
 理事:枩山聡一郎氏((株)eumo取締役)

④パネルディスカッション「これからのふるさと納税とまちづくりの未来」
 パネラー:(株)トラストバンク代表取締役川村憲一氏/大江和彦海士町長
 モデレーター:AMAホールディングス(株)取締役 未来共創基金担当 青山敦士

※申込フォームはオンライン参加を希望される人向けのものです。

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