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家具職人の知恵と経験と発想が生んだ新しい家具たち~新庁舎リメイク家具ストーリー~
2024年11月に新しくなった海士町役場。その空間を彩っているのがユニークな家具たち。海士町新庁舎魅力化プロジェクトの家具職人チームによって生まれ変わったリメイク家具にまつわるエピソードを紹介します。
解体しながら次の形を考える家具職人の技
家具職人チームは基本的にデザイン担当と製作担当がいますが、デザイン担当は製作工程をイメージしながらデザインを行うように、製作担当も自分でデザインしながら、形にしていくことがよくあります。
役場の住民生活課で使われていたホワイトボードと、開発センターにあった金属製のロッカー。
家具職人たちが長年の経験で培った知恵と経験と発想により、それぞれが魅力的な新しい家具に生まれ変わりました!
松と衣類(ころも)からできた「まつころ4wayボード」
リメイク家具で重要なのは、デザイン性だけではありません。実際に使う人たちが、どのような用途で活用するのか、機能性も兼ね備える必要があります。
住民生活課で使われていたホワイトボードは、以下の4通りの活用方法を設計しながら、再生されました!
① ホワイトボード
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②掲示板
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③スクリーン
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④パーテーション
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この家具は、西区の村越さんの工場で長年眠っていたマツの木を
外枠として再活用しています。
さらにもう一つ、家具職人のちょっとした工夫が。
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4wayボードの脚の片方が車輪になっており、片方が椅子の脚のようになっています。状況に応じて柔軟に移動ができるだけでなく、椅子の脚を軸にしながら用途に応じて両面を回しやすくなっています。
こういった小さなところにも、家具職人の細やかな配慮がなされているのです。
再生繊維ボード
「まつころ4wayボード」の背面は、海士町のみなさんからお譲りいただいた古い衣類をリメイクした繊維ボードになっています。
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なんと約80kgもの古い衣類をお譲りいただき、その一部が繊維ボードに生まれ変わりました。
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繊維ボードは、あま丸船(家具)や2階の役場窓口カウンターにも活用されています!
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制作に携わったリメイク家具チームの齋藤 淳さんからのコメントです。
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この場所でみらいを語るときに欠かせない掲示板をつくりました。機動性があって、両面使えて、90°向きでも使えるパーテーションにするためには意外とアイデアをひねり出す必要がありました。イスをデザインでよくつかう組み方をここに転用することで、家具っぽい掲示板が生まれました。また金属とダンボールが接着されたホワイトボードは新しく買うと意外と高く、かつ分別が困難なため、レスキューできて良かったです。
無機質なロッカーを機縦型のロッカーを横型の本棚にリメイク
「あま丸船(家具)」にも使われた、開発センターのロッカー。
そのまま再利用するにはデザイン性に欠け、島内で処分するには、大きすぎるために簡単には捨てられません。
更衣室でよくあるような、細い縦長の個人ロッカー。縦向きのものをあえて横に倒して、本棚として生まれ変わりました。
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ロッカー本棚で使われている木は、島内で倒木していたタブの木を活用しています。
処分しづらいロッカーと倒木された木を合わせて、シンプルだけど実用的な本棚に生まれ変わらせる、まさに家具職人の腕です。
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ロッカーの制作に携わったリメイク家具職人チームのワイルズ 一さんからコメントをいただきました。
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このロッカーは楠タイルの大きなテーブルを製作する際に出た端材で棚が作られています。せっかく用意して頂いた材料を無駄が無く使うように努めました。ロッカーでも使えなかったさらに小さな端材は豆腐屋さんで豆腐作りの燃料として使って頂きました。
右側の側面は黒板になっており、左側の側面はロッカーの金属部分にマグネットを貼ることもできます。
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3つ同じものが並んでいるので、掲示板機能としても活用でき、こちらも様々な用途での活用が期待できます!
「しゃばりば(新庁舎1階共創スペース)」で行われるイベントや島内イベントのチラシ、海士町に関する本などを置く場所として活用予定です。ぜひお気に入りの本を手に取って、お気に入りの家具で楽しんでくださいね!