5代の歴史を紡ぐ町長室の机~新庁舎リメイク家具ストーリー~
2024年11月に新しくなった海士町役場。その空間を彩っているのがユニークな家具たち。海士町新庁舎魅力化プロジェクトの家具職人チームによって生まれ変わったリメイク家具にまつわるエピソードを紹介します。
5代に渡り大切に使われてきた町長室の机
新しい役場に入り、1階の右奥にあるのが町長室です。
旧役場にも新しい役場にも、町長室には大きな机が入ります。
リメイク家具では、町長室の机も再生しました!
それもなんと、5代も前の町長が任期を務めていた頃から
大切に使われていた机なんです。
町長自ら町長室の机を再生(歴代町長テーブル -Next 50-)
町長室の机を制作していることを知っていた町長が、
工房にふらっと立ち寄り、
「俺の机はどげだ、釘の一本でも打たせてごせ」と。
建築大学を卒業し、土木や建築の仕事経験も豊富な町長は、
日々進んでいく家具製作の現場を目にして、
経験者の血が騒いだのだと思います(笑)
こうして急遽、町長室の机の再生の一部を
町長が直接再生することになったのです!
日程を調整して、多忙な業務時間を割いて
作業着姿の町長が工房に登場。
家具職人のサポートを受けながら、
机の引き出しを再生しました。
以下のような工程で再生作業を進めました!
①さしがねで寸法を測る
②インパクトで埋め込む穴を開ける
③電動やすりで表面を整える
④引き出しが入るように、かんなで削る
⑤塗装&オイル塗り
約2時間という短い時間のなか、予定通りの工程を終えました!
完成した机はこちらです!
「絶対に捨てるな。庁舎ができるからそれに使うから。」
新しい役場の構想が動き出していたころ、
海士町内にクスノキの廃材を捨てようとしていた方が
おられたそうです。
当初町長は、捨てずに新しい役場に使いたいという思いを
その方に熱弁し、今こうして新たな町長室の机として
生まれ変わりました!
「これで一つ役目果たしたわ、俺も。56年目にしてまた手一つ加えて、また次の50年に使ってもらう。」
仕上げのオイルがほぼ塗り終わり、
机が完成する瞬間に町長が発したひとことです。
50年以上使われてきた町長室の机は、
再生という手を加えられ、
次の世代へ大事に引き継がれていくことでしょう。
「次の50年に向かって、次の方に大事に使ってもらいたいと思います。」
完成後の、町長からのコメントです!
「(旧役場が)昭和44年にできたんだけども、
その時の町長さんが田畑十次郎さんという方で、
十次郎さんが使ってその後、竹谷町長、山中町長、石倉町長、
山内町長ということで、僕今回使わせてもらったんだけども、
ちょっと手を加えさせていただいたんで、
次の50年に向かって次の方に大事に使ってもらいたいなと
思います。」
歴代の町長が引き継いできた机を、
今度は大江町長が未来に残していきます!